『
ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』
「世界の警察」と豪語し、他国の問題に手を突っ込み、やりたい放題のアメリカ…。
だが実のところ災いを振りまいているのは自分たちじゃないのか?
そう考える人がいても不思議じゃない。
そんな疑問に『レア・エクスポーツ〜囚われのサンタクロース〜』のヤルマリ・ヘランダー監督は一ひねりある手法で挑んできた。
表向きはグラインドハウスか<午後ロー>のような軽快なタッチで突っ込みどころ満載のバカ映画だが、その実アメリカ批判がビッシリ。
フィンランド上空でエアフォースワンが撃墜され山岳地帯に不時着した米国大統領(サミュエル・L・ジャクソン)が、大人への通過儀礼のために山中で一夜を明かす少年オスカリ(オンニ・トンミラ)の力を借りて脱出しようとする話だが、どちらも未熟なもの同士が手を取り合いながら成長する。
ともかく
トコトン米国をおちょくっているのがよく伝わる。
映画自体がハリウッド風アクション映画を装うことや、主人公たちの(ハリウッド映画にはありがちな)あり得ない不死身っぷり。
その割に雑魚キャラのリアリティない死に方。
脱出ポッドに解除コードまで遊び心満載。
散々ハリウッドで描かれてきた大統領をめぐるテロや裏切り行為や続編がありそうな終わり方まで実にシニカルな仕掛けが楽しめる。
真正面からクソ真面目に捉える人には厳しい内容だろうが、“突っ込みどころ”を含めて楽しめる人向きの作品だと思う。
山岳景観とオスカリ役の子の顔つきが良い。
ただ、少年の父への落とし前は足りないかな。
ついでにフリーザーネタでもう一押し欲しかった気も…。
余談だが、空から落っこちて「Angel is down」というセリフが「大統領は地上だ…」って字幕になっていた。他にも皮肉めいたセリフが平易な訳になっているのかな。
写真は近日公開の『ピクセル』のイベントの一環。メジャーはいろいろ仕掛けるね。
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