『
きみはいい子』
やはり相性はあると感じる。評判がいいようだが、『そこのみにて光輝く』の呉美保監督とは相容れないものがあるかもしれない。
新米教師と学級崩壊の現実、モンスター・ペアレントの介入、独居老人の問題、子育てに手を焼くママ友たちの交流など、どれも日本が置かれている身近な問題だが、焦点を絞ったほうが良かった気がする。
例え原作がそうであっても一本の映画で複数の視点がみられるのは、あまり得策とは思えない。
(むしろTVシリーズ向き原作か?)
主人公は一応新米教師と見てよいか。
しかし今どきの小学校って映画に描かれるような状況なのだろうか。
ここまで<重労働>とは、現場の教師には頭が下がる思いがする。
一見バラバラに見える出来事が「実はつながっていますよ」というあたりが脚本としての見どころなのだろうが、どうにも“
接着剤”を使ったような印象を受けてしまう。
万事解決とはいかずとも教師の出した<宿題>は面白い試みで、キッカケくらいにはなるだろう。
宿題の答えを聞き出す箇所は、半分ドキュメンタリーのようで身を乗り出してしまった。
ただコミュニケーションの未熟さの問題提起なら、学校の話だけでも良かった気がするのだが…。
ほぼ自然にある光で撮影される中、
作為あるライティングの箇所が演出過剰に思えてならなかった。(良い芝居をしていたと思うのに…。)
盛り込みすぎて未解決な出来事が多かった点は気がかり。
夫たちはどこへ行った?
役作りのために池脇千鶴に「太れ」と指令が出たそうで、それに応えた彼女の女優魂は立派なものだが、逆に脚本はもっとスマートにするべきだったのでは?
すっかり忘れていたが、靴をベロベロにする<あれ>は懐かしい。
…というか全国的なものなのか?(笑)
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