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2015年08月12日01:09

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『日本のいちばん長い日』

日本のいちばん長い日

 人類の歴史は、戦争の歴史と言っても過言ではないくらいに付きまとう。
しかし、戦争は始めるよりも終えることの難しさこそ知っておくべき。
70年前の過去の話だが、キナ臭い現在だからこそ見るべき映画ではないか。

 1967年に岡本喜八によって映画化された半藤一利のノンフィクションの再映画化。
前回は出番がなかった昭和天皇の存在が最大の違いか

 ある年齢以上の日本人なら原作のことを知らなくとも、それとなく認識している出来事だろう。
岡本版はキチンと見た記憶がないが、(ちなみに15日にNHK−BSで放送予定)そんな自分でもおおよそは知っている。

 今さら記すまでもないが、太平洋戦争終結に向けて、日本は連合軍からポツダム宣言の受諾を迫られる。
降伏か本土決戦か、意見の割れる政府や軍部の閣議の様子を描き出す。

 いずこも同じだが利権関係はどこも仲が悪い。
陸軍と海軍も仲が悪いが、同じ軍部であっても一枚岩ではない。
血気盛んな若者がクーデターに走り、老獪な政治家が収めようと奔走する姿は、派手な銃撃戦がなくとも十分スリリングに魅せられることを示す。

 監督の原田眞人は古き良き日本の佇まいを描くことが多いように思う。
もしかしたら失いつつある日本の姿かもしれないが…。

 原田監督は大きなスケール感やリズムを大切にしている気がする。
構図にセット、人物のスケールにセリフや編集のリズムなど。
アスペクト比率も彼の美学と密接な気がする。

 板挟みになる阿南陸軍大臣役の役所広司の熱演も光るが、鈴木貫太郎総理役の山崎努の飄々としたイナし方が魅力的。
現在の政治家についてチクリと皮肉ったセリフが痛快。
天皇陛下を演じた本木雅弘の特色ある話し方が研究の成果をうかがわせる。

 さすがに当時そのままの再現は不可能だろうが、撮影に使われた歴史的ロケ地も作品に重みを与えていた。

フォト


 ところで、トランプのシーンで<パス>という敵性語を使っていたけど、阿南家では問題ではなかったのか…どうなのだろう?スペードダイヤクラブハート


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