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2015年06月24日23:59

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新譜之雑談帖(その206)―シベリウス録音集成(11CD)

わたくしはシベリウスと云う作曲家の作品に、正直申しまして余り馴染みがないのでありますが、それでも馴染みの曲(数は少ないのですが)にはあれこれ手を出している次第。わたくしはまた、全集馬鹿でありまして、何でも全集と銘打ったものがあるとすぐ手を出して仕舞う病気が。

実はシベリウスの交響曲全集もそれ程聴かない割には、何故か三種類(バルビローリ、コリン・デイヴィス、ベルグルンドのそれぞれ古い方の全集)も持っている有様。しかし、シベリウスの交響曲全集では、長年入手したいものという強い願望を抱きつつ、これまで遂に入手する機会に恵まれなかった全集があるのでありまして。それはモノラル時代、定盤として名高かった(らしい)アンソニー・コリンズ/ロンドン交響楽団による全集でありました。

昔々の事は無論良く知らないのでありますが、わたくしがクラシックに嵌りだした頃、コリンズのシベリウスは国内盤では、ロンドン(昔のデッカの日本におけるレーベル名)のMZシリーズの廉価盤(モノラルでしたからね)で、確か第一・第二の交響曲だけが入手可能であったかと記憶しています。今からざっと40年ほども昔の話なので、或いは思い違いもあるかも知れませんが、当時は「シベリウスを本当に聴くのならコリンズの演奏」と云った論調も読んだ様な記憶が。

海外盤では全集も入手可能と聞いて幾歳月。しかしわたくしがある程度自由に音盤を購入出来る様になった頃、既に時代はLPからCDへ。録音もアナログからディジタルへと発展する歴史の流れの中、既に録音されてから半世紀以上も経つ、大昔のモノラル録音は何時しか市場から姿を消して仕舞っていたのでありました。
無論中古盤を探す根気があれば、左程待たされる事無く入手は可能であったかも知れないのですが、わたくしは生憎其処までの執着心がなく。
時の流れの中では、板起こし盤が発売された事も、また一部の録音が濠太剌利のユニバーサルの廉価盤レーベルで出た事もあるのですが、せめてオリジナル音源の発売元からの全集が欲しい(また板起こし盤が案外高かった事もあって)、と云う我儘の前に手を出す事もなく。

しかし、嗚呼、遂に。「廃盤なら、再発を待とう時鳥」(字余り)が報われる時がやってまいりました(大袈裟)。作曲者の生誕150周年を祝う録音集成に、デッカが遂にコリンズの全集を組み込んで発売するとの告知が。
デッカはこれまで、自分の所のモノラル録音のお蔵出しに、余り熱心ではなかった(様)なので、これは実は昔の音源は失われて仕舞ったのではあるまいか。そしてコリンズの録音も、何処かへ行って仕舞ったのか、それとも保存状態が悪くて、再発不能なのではあるまいか、と密かに心配していたのでありますが、杞憂に終わって嬉しい限り。

個人的にはコリンズの全集を出してくれさえすれば、他の録音なんざあっても無くても、否、単に値段が高くなるだけだから止しにして欲しい、と思わぬでもありませんが、まあそうしたチンケな料簡はこの際言い出さない事として。

ロスバウトのDGへの録音、モントゥーの第二交響曲(これは先達てのモントゥーの録音集を購入する事が前提、でありますが)がダブりになって仕舞うのは些か痛い所ではあるけれど、実に三十有余年もの間、再発を鶴首して待っていた者としましては、大変に嬉しい告知でありました。
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