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2015年05月20日01:08

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『真夜中のゆりかご』

真夜中のゆりかご

 顔のドアップ・ショット含めてどこを切ってもスサンネ・ビア印といった印象。
『アフター・ウエディング』、『未来を生きる君たちへ』などで見る者の魂に揺さぶりをかけるビア監督らしい作品で、よくもまあ毎回極端な葛藤シチュエーションを生み出すものと感服する。
一年、365日、24時間ずっとこんな意地の悪い組立を考えているのだろうかと思うだけで胃が痛くなる。(苦笑)
…しいて気になるといえば、葛藤の生みだし方がパターン化しつつある気がする点だろうか。

 近年、日本でもネグレクト問題は良く取り上げられる。
それは世界的傾向なのか、冒頭から育児放棄をする前科ある夫婦が登場する。
一方、対比的に子煩悩な刑事夫婦が並行して語られる。
同じくらいの赤子なのに、生まれた家庭の違いでかなり差を感じる。

 さて、子供にとってはどちらが幸せなのか。
夜泣きしてもろくにあやすこともしないクズ夫婦と、睡眠を削ってまでも深夜ドライブしてあやす夫婦。
多くの人の予想は一緒だろうが、実際は見かけどおり単純ではない。

 ある日、<平凡な日常>をひっくり返す出来事が起きて、あろうことか禁じ手を使ってしまう。
冷静に考えれば幼稚な行動だし、あり得ないことは当人にもよくわかるだろう。
どう考えてもその場の思い付きでしかないから…。
その点で説得力は薄いが、精神的に追い詰められいたら分からない…。

 ここまででも十分ヘビーなのに、ビア監督はさらにどんでん返しを用意する周到さなのだが、もうあまりに悲劇過ぎて涙も乾く。
トリック的な部分が見どころでもあるので、あまり具体的には語れないのがなんだが、いつものように(ある種の)リトマス試験紙のような映画。
一つ言えるのは、ビア監督は地元(北欧)で撮った方が作品が生きる気がする。

フォト


 究極の選択がすごすぎてオチが生ぬるい気もしなくはないが、そこが英題につながるのだろうか。


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