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2015年05月19日02:10

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NTL『二十日鼠と人間』

 前回の『欲望という名の電車』で味をしめて(?)、再びナショナル・シアター・ライブの演目を鑑賞。

『二十日鼠と人間』

 言わずと知れた巨匠ジョン・スタインベック原作の舞台化作品。
映画化もされているが、幸か不幸か未見。
多分、誰が作っても名作になりそうな原作の力を感じる。

 農業が機械化される前の時代、人間が機械の代わりに消耗品として使い捨てにされてきた悲哀が語られる。
貧しい庶民がひたむきに働いて自分の土地を持つというささやかなアメリカンドリームは観客の共感を呼ぶだろう。
しかし、それを許さないアメリカの現実に痛烈な冷や水を浴びせる。

 作りこまれたセットは味わいがあるものの、比較的オーソドックスな舞台劇。
鼠や犬が暗喩的かつ効果的に使われる。
ジョージ役のジェームズ・フランコの好演も光るが、トニー賞男優賞にノミネートされたというレニーを演じたクリス・オダウドが素晴らしい。気はやさしくて力持ち、でもちょっと足りない大男をよく体現していた。

 足手まといにしかならないレニーと奇妙な友情で結ばれるジョージの心の内は、当初は疑問に思うが、ジョージにとってはかけがえのない支えだったのが次第に分かる。
一人の持つ夢が、周囲をハッピーにする“幸福の連鎖”は現実の前では厳しい壁が立ちふさがる。

 『グリーンマイル』や『アルジャーノンに花束を』などが頭をよぎるのは私だけではないだろう。

 男だらけ(女性は一人)の舞台を仕切る女性演出家アンナ・D・シャピロの柔らかさも出ていた気がする。
時代設定は昔だが、より良き未来を夢見たり孤独に弱い人間の姿は普遍なのではないだろうか。
最後の決断こそ<究極の友情>なのだろと思うと、胸が締め付けられる…。

フォト


…なので、余計にカーテンコールは和んだ。(笑)

 先ごろまで予定にあったTOHOシネマズ新宿での上映がなくなったのは残念だったが、日本橋などで5月20日まで上映中。
次回のビル・ナイ、キャリー・マリガン出演の『スカイライト』はみたいなぁ〜。
演出がダルドリーだし。(見落とした『ザ・オーディエンス』の再上映をしないかな。)

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