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2015年05月02日01:40

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『私の少女』

私の少女

 古い因習や閉鎖的な社会との戦いを感じる。
冒頭、エリートだった女性警官ヨンナムが片田舎に左遷される。
そこでは継父や同級生から虐められる少女ドヒの姿が…。
やがて帰属集団から弾きだされたもの同士、寄り添うように惹かれあう。

 日本でもそうだが韓国は特に男社会で、さらに日本以上にタブーへの厳しさが存在するようだ。
地方の閉鎖的社会問題や不法就労という社会問題も浮かび上がるのは偶然ではないのかも。

 ノンビリした片田舎の村、特に大事件など起きそうにないのに就任早々に不穏な空気を感じ取るヨンナム。
少女が家族からも同級生からも虐められる原因はそれほど深いわけではなさそうだ、それゆえに韓国社会そのものが抱えている見えざる問題の根深さなのかもしれない。

 貧しい村では法の正義よりも個人の生活が最優先されるのは、どこも同じか。
自分の心の弱さを隠すように焼酎を水のペットボトルに詰め替えるヨンナムの抱える闇が気になるが、これが「本当にそれだけで…」と愕然とする。

 中心人物の所長ヨンナムとドヒをペ・ドゥナとキム・セロンという韓国映画界を代表する二人を迎えられたことは、これがデビュー作となる女性監督チョン・ジュリにとって心強かったであろう。

 少し疑問に思ったのは、地方とはいえあれほど若くして<所長>になれるのかという点。
もっともそれこそがエリートの裏付けということも出来るのだが…。

 実は途中で韓国版『偽りなき者』なのかと感じていた。結果は違っていても自白偏重や物的証拠の甘さなどは韓国の現実を反映しているのだろうか。

フォト


 社会から弾き出されるヨンナムとドヒの孤独な戦いは、男社会の中で監督の道を模索する一人の女性チョン・ジュリの戦いに他なるまい
監督の生まれ故郷(麗水)を舞台に選んだ理由も、単にソウルから離れた場所というだけではないはず。
生きずらい社会でも希望を捨てない姿には応援したくなる。
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