「かなづかいその他の表記法は原本に従うことを旨としたが、漢字については新字体を採用した。」
津田左右吉『文学に現はれたる我が国民思想の研究(一)』(岩波文庫・1977年)の凡例より
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この凡例に従った結果、この本では、当用漢字については新字体が使われる一方、それ以外の漢字については旧字体が使われている。そのため、使う字体に一貫性が無く、僕にとっては違和感のある字面となっている。
さて、漢字の読み(訓み)について。
F.「興味を饒かにする」(p.24)
G.「わが女に通つた他し男」(p.29)
H.「尚んで」(p.30)
Fは「ゆたかにする」と訓むのだそうだ。
そう言えば、当用漢字政策の下では「冗舌」(じょうぜつ)と書かれることが多い熟語は、元々は「饒舌」と書かれていたことを思い出した。「饒」(ジョウ)の訓読みは「ゆたか」とのこと。
Gは「あだしおとこ」。「あだし」は普通、「空し」または「徒し」と書くことが多いと思う。この2通りならば、目にすることも少なくない。しかし「他」で「あだし」というのは、珍しいと思った。
Hは「たっとんで」。これも、「尊んで」「貴んで」という表記が多いと思う。
■漢字の学習(1)
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