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2014年11月24日00:36

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『寄生獣』

寄生獣

 雑誌「アフタヌーン」に連載されて人気を博したコミックの実写映画化。
海外に渡っていた映画化権が切れて、ようやく母国での制作が可能になったということみたいだが、頓挫した理由は何だったのか…。
だが遠回りしたおかげでVFX技術が上がり、<あの変形描写>ができるようになったのは勿怪の幸いだった。

 文字通り<獣>のような<寄生生物>が体内に宿り共生生活を強いられる高校生の泉新一の話。
原作を読んだことがある人には説明は不要だろうが、(私も読んだけど、もうずいぶん忘れているかも…)前編となる本作を見た限りではおおむね原作のイメージ通りに思える。

 80年代末から90年代中ごろに連載された漫画だが、ここに描かれている社会性は今なお色褪せることはない。
飽食に生きる現代人は自分の欲望をコントロールできるのか。<個>を犠牲にしてでも種を優先できるのか?
人間が食物連鎖の頂点だと勝手に決めつけていることへの正当性は?
…などと数々の疑問が浮かび上がる。

 <人を食ったモンスターが政治家になろうという>エピソードには寒気すら覚える。
ヘタレだった主人公<泉新一>が厳しい現実を突きつけられて、自分の居場所や使命感を見つける成長物語でもある。成長に大切な要素として親離れという古典的ハードルが与えられるあたりも名作と呼ばれる所以じゃないのか。思えば、ずっと新一は母親に<寄生>していたようなものだから。

 <泉新一>にキャスティングされた染谷将太の芝居はいつも通り大仰ではあるが、原作漫画の時点でかなり大げさな感情表現なので合っているのかもしれない。
やや不安だったのはキーとなる<ミギー>の声を担当する阿部サダヲ。
コミカルなシーンはともかくシリアスな場面での軽さが憂慮されたが、思えば会話するときはほとんどコミカルな場面だった。(笑)

 原作漫画が連載中に『ターミネーター2』が登場し、T-1000はこの漫画の影響ではと騒がれたことを思い出す映画ファン・漫画ファンもいるのでは。
当時、J・キャメロンは「アフタヌーン」など日本の漫画を取り寄せているという噂だったので、まんざらでもあるまい。(宙ぶらりんになっている『銃夢』はいつ…?)

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 ともかく完結篇を期待させる出来ではあったと思う。


 試写会@ニッショーホール
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