『
ショート・ターム』
インデペンデント、青春の甘酸っぱさ、ロッテン・トマトで高評価…これらにピンとくるものがあれば、この映画はきっとその人の宝物になるのでは?
舞台は傷ついたティーンを短期間(ショート・ターム)ケアする施設。
自傷やネグレクトなどを原因とする更生のために滞在している子供たちの生活を描く。
子供にとって、最も身近な存在は親であろう。良くも悪くも影響力が大きい存在。
問題を抱えているとはいっても決して弱い子ではなく、皆がやさしい子。
だから自我を吐き出すことができずに自分を壊してしまう。
しかし、心の叫びに気がつく人はなかなかいない。
その点では<似た境遇>を味わった者には響くものがあるのだろう。
ケア施設では毎日のようにトラブルが起きて、入居者の入れ替わりも頻繁。
入居者を救うために働いている職員グレイス(ブリー・ラーソン)が救われる方にシフトしてゆく脚本構成の巧みさ。やがて彼女の抱える<闇>が詳らかになると、どちらが入居者かわからなくなる。
ともすればありがちな題材に思えるが、新鮮味と躍動感を感じるのはキャストの魅力とハンディカメラによるものだろうか。
重い事例のわりに、清々しさを感じさせるのは好感が持てる。
婉曲に自身を表現した童話の効果も抜群で、星条旗の意図も明確。
キャストは注目株が勢ぞろい。監督ともども将来のスター候補生として注目していくのも面白いと思う。
本作が監督2作目というデスティン・クレットンの手腕は確かで、オスカー女優ジェニファー・ローレンスが目をつけて次回作に主演というニュースには唸った。
少しきれいすぎるが『情けは人の為ならず』という言葉を思い出す素敵な小品。
一つ難癖をつければ、デイケアの新人くんが今一つ<蚊帳の外>だったことか。
経歴を見ていたらグレイス役とジェイデン役の子は『The Spectacular Now』(日本公開未定)に出演しているとのこと。
確か、円盤あったはず…。(笑)
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