『
サボタージュ』
最強を誇る9人のDEA(麻薬取締)チーム。
麻薬カルテルと命を懸けた日々の中、常日頃の危険と見返りの釣り合わなさゆえか、カルテルの資金をちょいとネコババしようと企む。
マル秘作戦は成功したかに見えた矢先、それを何者かに横取りされる。
疑心暗鬼になる中、仲間が一人ずつ猟奇的な死を迎える…。
『エンド・オブ・ウォッチ』のデヴィッド・エアー監督がアガサ・クリスティの古典ミステリー『そして誰もいなくなった』をベースに映画化したサスペンス・アクション。
一人ずつ怪死を遂げてゆくのと犯行の動機だけは元ネタを尊重しているようだが、それ以外はかなり大胆にアレンジされていると思える。
少なくともアクションシーンの最中は半端ない臨場感も相まって元ネタのことなどは忘れてしまう。
デヴィッド・エアー監督が『エンド・オブ・ウォッチ』で見せた銃撃戦の迫力は本作でもいかんなく発揮。
設定はアメリカのDEA対メキシコの麻薬カルテルという定番ネタだが、潜入捜査を得意とするチームらしく、見た目では善玉か悪玉か分かったものではない。
負の連鎖を感じさせる脚本も見慣れたものだが、西部劇を思わせるシークエンスに<アメリカ映画>への置き換えを感じる。
チームのメンバーが頼れるリーダー<ブリ―チャー>に扮するA・シュワルツェネッガー。タトゥーに微妙なヘアスタイルといった風貌を見せる。(笑)
他にもサム・ワーシントン、ジョシュ・ホロウェイ、テレンス・ハワード、ミレイユ・イーノスなど豪華キャストが目を引く。特にDEAチーム
紅一点ミレイユ・イーノスのアクションのキレ具合は本作の“発見”かもしれない。
“探偵”役として登場し観客の目となるのは女刑事のキャロライン(オリヴィア・ウィリアムズ)だが、ミステリーを解き明かしメンバーの過去を紐解きながらも次第に惹かれてゆく姿に共感を覚える。
アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』はたびたび映画化されているが、これぞ決定版というのは聞かない。
本作にしてもアクション部分はともかくミステリー部分となると、魅力が十分に伝わっているかは微妙なところ。映像化には皆手を焼く作家なのかもしれない…。
11月7日よりみゆき座などにて公開予定
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