『
ホドロフスキーのDUNE』
歴史に<たられば>は禁物だが、それでも実現してほしかった企画はある。
その一つがフランク・ハーバートの同名原作を基にした本作、『スターウォーズ』に先駆けて壮大なSFファンタジー大作映画となったであろうホドロフスキーの『DUNE』。
これは実現しなかった映画に携わった者たちへのインタビューと、残された膨大な資料から全容を紐解くドキュメンタリー。
ともかくカルト級(?)からメジャー級まで次々あげられる名前がスゴイ。
H・R・ギーガー、ダリ、オーソン・ウェルズ、ミック・ジャガー、ダン・オバノン、メビウス等々…、私でも知っている有名人ばかり。(正直言うと、もっともなじみのないのがホドロフスキー監督と俳優の息子。)
御年85歳とは思えないほど、失敗談を意気揚々と語るホドロフスキー監督の姿に圧倒される。
中止になった理由は概ね想像がつくもの。
企画自体がファンタジーのようなものだったのだ。(笑)
だが、そういう気質の人でなければ達成できない映画化だったのかもしれない。
<芸術より金儲け>のハリウッドとそりが合わないのは当然ともいえるのかも。
しかし、これを機会に23年ぶりの新作『リアリティのダンス』につながったのは心底良かったと思う。
不思議なつながりや縁を信じたくなる話で、それもこれも憎めない監督の魅力なのか。
空中分解してしまったが、“残された種”はその後の映画界に大きな実をつけた。
セレクトしたホドロフスキーの慧眼は確かなものだといえよう。
<たられば>はないと書いたが、このメンツで実現できたとしたら映画史は書き換えられていたか。また監督や息子の人生はどうなっていただろうか?
作品の評価はどうであれ、少なくともカルト映画として語り草にはなっていただろう。
失敗にめげないバイタリティは見習いたい。
リンチもそうだが、ホドロフスキーBOXも手つかずだなぁ…。
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