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2013年07月30日16:22

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潮風公園(『激流』第五回ロケ地)

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夜。店からの帰り道。
噴水のそばを通りかかる鯖島と圭子。
圭子「ごめん。ちょっと座っていい?」(噴水周りの縁に座る)
鯖島「どうしたの。また気分でも悪い?」
圭子「違うの。何だかものすごい疲れた」
(座る圭子の前に立ったまま見つめる鯖島。
 カメラは二人に寄ってゆく)
圭子「貴子が釈放されてもまだ何も解決してない気がする。
   何だか怖い。誰かにいつも見られてる気がして。
(気遣わしげに見つめる鯖島)
   変!何だか変!うまく言えないけど」
鯖島「俺もそう思うよ。実は俺のところにもメールが来たんだ。
(ゆっくりと圭子の隣に座る)
   冬葉から『わたしを憶えていますか』って。
   『ふざけるな』って返事した」
圭子「大丈夫?そんなことして」
鯖島「それから何も言ってこない」
(動揺する圭子。気遣って見つめる鯖島)
鯖島「大丈夫か、サンクマ」
圭子「はあ…(頷く)たぶんまだ色々整理出来てないんだと思う。
   …貴子のこと、やっぱりすごいショックだったし…
   顔見たら、よけい辛くなったし、(だんだん涙がこみあげてくる) 
   これから貴子と華ちゃん、どうやって暮らすんだろうと思ったら、
   ほんと、泣きたくなったけど、貴子の前で泣くわけにいかないし、
   ハギコーに言ったらまた心配するだろうし、美弥にだって…」
   (涙が止まらず手で顔を覆う)
鯖島「…サンクマ」(心配そうにじっと見つめる)
圭子「…ごめん。ごめん。おかしいね、あたし。
   サバの前だとすぐに泣いちゃう。
(立ち上がって)ごめんね、サバ。ごめん。どうかしてるね私。
   帰るわ。帰って寝る。ここんとこずっと眠れなかったから。
鯖島(立ち上がって)
  「サンクマ、うちに寄る?もう少し二人で話す?
   …なんかサンクマのこと、このまま一人にするのは…」
圭子「(表情が波立つが、あえて笑って)…それ、誘ってる?」
鯖島「違うよ。そんなんじゃない。…友達として」
圭子「……」
(じっと見つめあう二人)
圭子「やっぱり帰る。
   今サバのうち行ったら、一生その部屋に居そうだもん」
鯖島「え?」
圭子「思い切り頼っちゃいそうって意味」
鯖島「…強いな。サンクマは」
圭子「そこがダメなんだって。もと夫に言われた。
   でもしょうがないよ。こういう性格なんだもん」
(圭子をじっと見つめ、わずかに微笑む鯖島)
圭子「笑わなくてもいいでしょう」
鯖島「笑ってないよ」
圭子「笑ったよ、今」
鯖島「笑ってない」
圭子「笑った」
(突然圭子を抱き寄せ、抱きしめる鯖島)
圭子「サバ…」
(鯖島の切ない目。
 圭子、いったん目を閉じて彼の肩に顔をうずめ、離れる)
圭子「サバ、ありがとう。…お休み」
(立ち去る圭子、一人見送る鯖島)
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夜目にも白い噴水のそばで交わされる会話と、
控えめで優しい抱擁。
涼やかな水音がBGMのように絶え間なく流れ、
キャンドル型の噴水が、わずかに丈を高めたり低めたりするのが、
まるで二人の心の揺らぎとリンクしているかのよう。
最初の引きの景色では、ヤシの木らしきシルエットも見え、
とても印象的なシーン。

この場面が撮影されたのは、お台場にある東京都立潮風公園。
http://www.tptc.co.jp/park/siokaze//tabid/1094/Default.aspx
敷地はかなり広く、北エリアと南エリアに分かれているが、
この噴水があるのは南エリア。船の科学館に隣接している。

ゆりかもめの「船の科学館駅」南中央口から降りれば、
入口はすぐそこ。
両側に背の高いワシントンヤシの木が並ぶ
「緑と風のプロムナード」をまっすぐ行くと、
道筋の中央に円形の噴水が現れる。
ヤシの木の後ろには桜の木々も並んでいるが、
噴水のあたりにはサルスベリも多い。
この木はすべらかな白い幹なので、
サバと圭子の場面でも、背景にあるのはよく分かった。

画面でも見えた通り、噴水の水面は二層になっていて、
最初に見えるのは上の段のほうだけ。
回り込むと、下の段の噴き上げも見えてくる。
キャンドル型の噴水は、水面下のノズルから
空気を巻き込んで白く噴き上がるので、
小さいながらボリューム感がある。

実は2010年の『Mother』ロケ地めぐりの際には、
耕史くん演じる駿輔が車のフロントガラス越しに眺める
キャンドル型の噴水の場所が特定できず、色々調べたので、
このかたちの噴水を見ると思い出してしまう。
参照)
・車内の駿輔(『Mother』第6話ロケ地をめぐる考察) 2010年09月02日
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1574365197&owner_id=949383

サバと圭子が並んで座った噴水の縁のあたりには、
「滑りやすくなっています。転ばないようご注意ください」
というような内容の注意書きがA4クリアケースに入れられ、
左右四か所に、べったりとクロステープで貼られていた。
事故を防ぐためのこういう表示は致し方ないとはいえ、
これが画面に映っては興ざめだから、
撮影時だけ取り除いてあとで貼り直したのだろう。
やっぱり”絵になる”風景を作るには、
細かな下準備が必要なんだなあ、とスタッフの苦労を思う。

道はここからカスケードとなり、中央の水の流れとともに、
海のほうに向かってゆるやかに下ってゆく。
下った先にも噴水広場があるが、
こちらは円形の階段状のくぼみの中に向かって、
縁から中央にしゃーっと水が噴き出してる。
子どもならじゃぶじゃぶ池のように遊べそう。

広場近くに背丈の低いオリーブの木が植わっていた。
ワシントンヤシの説明板を読むと、
北米原産の木で、高いものは10メートルにもなるとか。
古い葉っぱが垂れ下がって、幹を蓑のように包むのは、
暑さから身を守るためらしい。

潮風が身体に心地よい。目の前の海を船が行く。
屋形船やら、巨大な貨物船やら。
船体いっぱいに「OJI PAPAER」の文字付き。
あれは王子製紙の船か。
すぐ向かいはコンテナ埠頭。
たくさんのコンテナやクレーンが立ち並び、
なにか得体のしれない基地のようにも見える。

雲の峰から漏れる夕暮れ時のひかり。
見上げる視界のはしに背の高いヤシの木の頭。
なんだか日常を離れ、異国にいるようなひとときを過ごせた。
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