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2010年09月02日23:29

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車内の駿輔(『Mother』第6話ロケ地をめぐる考察)

<6話の車内場面>
しゃーっと噴水の音が大きく聞え、
車の中からの視点で、フロントガラス越しに噴水の飛沫が白く見える。
次の一瞬、車内ミラーに映る駿輔の顔のほうにピントが切り替わり、
背景は白くぼやける。
細い横長の鏡に映る彼の唇、鼻、目。
駿輔は手にしたカメラで、自分が撮影した継美と奈緒の再会時の抱擁画像を見ている。
歩道橋の上でしっかり抱き合う二人をズームアップする駿輔の指。
と、携帯の着信音。
「はい。…どなた?」電話に出た駿輔の目が動く。
「…はい?」片手を耳にあてる。聞き取りにくい。
しゃーっという水の音。
カメラ切り替わり、車の外からフロントガラス越しに駿輔をとらえる。
「声、小さくて聞えないな」

カメラ再び車内。ミラーに映る駿輔。
「え?」
さかんに動く駿輔の目。

夜。駿輔の車の中。
携帯の着信音。
駿輔が手を伸ばし、「公衆電話」という表示を見、ややあって出る。

「もしもし、藤吉さんですか」
緑色の公衆電話のうえに置かれた駿輔の名刺。
それを見ながら、病院ロビーから入院中の葉菜が電話している。

「あ…望月さんですか?お電話ありがとうございます」
しゃべりながら外を見て、視線が止まる駿輔。
そちらを見つめたまま会話を続ける。
「望月さん、切らないで少し待てますか」

病院の葉菜。
「はい…(?)」

視線をそらさず見ている駿輔。
並木道の向こうから仁美が歩いてくる。

駿輔「望月さん」

葉菜「はい」

片手でドアをあけ、車の外に出て近付いてくる仁美を見つめる駿輔。
「面白いことになってきましたよ」
聞いている葉菜の表情に駿輔の台詞がかぶる。

<昼と夜の場所>
駿輔の携帯にかかってくる電話は、日中と夜の二回。
状況を示すために、ちょっと細かく採録してみたが、
この最初の車内場面の直前は、病院に見舞いにやってきた多田老人が、
理容店に置かれていた駿輔の名刺を葉菜に渡す場面だっただけに、
一瞬、電話は葉菜さんからかな?と思ってしまう。
でもあとの展開を見ると、この時電話してきたのは仁美なのだろう。
葉菜が実際に彼に電話するのは夜になってからである。

駿輔が何のために停めた車の中にいるのかは分らないけれど、
室蘭でも外で張り込んで、仁美の部屋の窓を隠し撮りしたのを見ているから、
何かの張り込みでずっとここにいるのかな、とも思わせられる。

夜の葉菜との会話の時、仁美が駿輔の車の方に歩いてくる場所は、
明治神宮外苑の銀杏並木。
http://loca.ash.jp/info/2010/d201004_mother.htm
→ロケ地063
・道木仁美が歩いてくるのを藤吉駿輔がみた並木道
→神宮外苑の銀杏並木(東京都港区北青山一丁目)

神宮外苑は球場や記念館、児童遊園など多くの施設があって、
それぞれの最寄り駅がいくつもある大変広いところだが、
この銀杏並木もよく知られる馴染みの場所。
樹々が黄金色に色づく秋ともなれば季節の映像としてニュースでも紹介される。
青山通りから絵画館を正面に見ながら外苑に入ってゆく道筋。
最寄駅は地下鉄銀座線の外苑前か青山一丁目。
真ん中は車道で、歩道は左右にあり、
銀杏はそれぞれの歩道の両側に、道をこんもりと包むトンネルのように立つ。
http://www.meijijingugaien.jp/information/access-map.html

有名な場所だけに、ここは画面を見て一目で分った。
ああ外苑の銀杏並木か。
じゃあ最初に見えた噴水は並木の突き当たりなのか、と自然に思った。
↑のアクセスマップの上に写真が出ているけれど、
並木道の突き当たり、遠く絵画館をのぞむ場所には丸い池があって、
そこには噴水があるのだ。

<昼の場所の相違>
一応は知っている場所だけにそれほどはやる気持ちもなく、
他のこまごましたロケ地にあちこち足を運んでから、
先日ようやく、最終話の藤子さん撮影のエスコルテ青山とも併せ、
外苑前あたりをまとめて撮っておこうかと足を運んでびっくりした。
違う!あの画面に見えた噴水はここじゃない。

人間の記憶なんて結構曖昧なものだから、
ロケ場所めぐりの前には自宅で先に画面写真を撮ったうえで、
現地でそれと見比べて、撮影地点、アングルなどを確認するのだけれど、
ドラマ場面で一瞬見える噴水の池には、左手に何かオブジェらしき石材が見える。
カメラはフロントガラス越しに、かなり狭い範囲を限定的に撮っていて、
全体像は分らないけれど、画面に斜めの角度で突き出ているのは紛れもない。

ひきくらべて、神宮外苑噴水の丸池にあるのは噴き出し口のノズルのみ。
中央に高く噴き出す3つの口が寄りそい、
周りを囲むのは低目の高さに揃ったノズル9つ。
斜めの角度で見えるような石材はどこにもない。

あれれ?と内心あわてて、他の写真も見てみたら、
外からフロントガラス越しに車内の俊輔をとらえた画面で、
フロントガラスにビルの姿が映りこんでいることに気付いた。
水に映ったように頭を下にした姿だけれど、かなりの高さ。
ひとつだけではなく、段々のように連なっている。
ますますもって、この場所では有り得ない。
神宮外苑の上の空は広くて、すぐわきにこんなビルがある場所は皆無。
念のため、銀杏並木の反対側の青山通りにも出てみたけれど、
こういうかたちのビルは見当たらなかった。
となると、この噴水や日中に駿輔の車が停まっている場所は、
夜とは別の場所ということになる。

<噴水とビル>
ロケ地ガイドにもこの場所のことは記されていない。
手掛かりは噴水とフロントガラスに映りこんだビルだけ。
カメラは巧みにそれらだけを切り取っていて、回りの風景は分らない。
いったいどうやって調べればよいのか。

とりあえず「噴水」「公園」などで検索してみたけれど、
結果ははかばかしくなかった。
実にさまざまな噴水があり、画像もあがっているのは分ったけれど、
そもそも大きな公園だったら、噴水のすぐそばまで車は寄れないはず。
今までの例から言っても、そんなに大きくない通路のわきのような場所に
水の流れがあるのではないかと思われてきた。
でも「噴水」だけだとくくりが広すぎて絞り切れない。

フロントガラスにうつるビルのほうはどうだろうと思い、
都内の「高層ビル」でも検索してみたが、なかなか辿りつかず。
それにしても今は「噴水」でも「ビル」でも、
ネット検索すれば図鑑のようなページが出てきて、それはそれで興味深く、
しばらくぐるぐるそんな世界をさまよってしまった。

<「Mother手帳」とエンドクレジット>
何が解決のきっかけになるか分らない。
友人に電話で噴水場面のことを報告し、「調査中だけどまだ分らない」と言ったら、
「そういえばだいぶ前のスタッフブログに車に乗ってる写真がありましたね」
と言われたのだ。
ああ、そう言えば見た覚えがある。
でもあれは単にビルの前に停まってただけで…と思い出しながらはっとした。
ビル?!
ブログ写真を見たのは放映前だったから、
どんな場面か全然見当がつかなかったけれど、
もしやそれが昼の場面では?

急遽その記事を見直してみた。
http://www.ntv.co.jp/mother/blog/
→”第6話「さよならお母さん」まもなくです!”(5月26日)
---------------------------------------
先日での都内ロケ。
現場近くに到着して、
車の展示会?と思ったら駿輔車内ロケでした。
そして、駿輔、何やら思案中・・・。
----------------------------------------
これだこれだ。間違いない!
6話の車内場面と同じ白い上着の駿輔は、
よく見れば手にカメラを持っているではないか。
これで新宿で撮影した継美と奈緒の姿を見返しているのだ。
このブログの写真にはむろん噴水は出ていないし、ビルの上部も分らないし、
あの場面に結びつくとは想像もつかなかった。

ところでこのビルはどこのビルなのだろう。
答えは6話のエンドクレジットにちゃんと出ていた。
撮影協力のひとつに「新宿パークタワー」とある。
他は病院だの理容店だの、その場所がちゃんと思い浮かぶけれど、
噴水場面がビルに関係するとは思わず、素通りしていたのだ。

<新宿パークタワー>
「新宿パークタワー」で検索して、ビルの根元に噴水広場があることが分り、
さっそく仕事帰りに確認に行ってみた。
http://www.shinjukuparktower.com/
新宿駅南口から甲州街道を初台方面に向かってしばらく歩き、すぐ右手。
52階建ての高層ビルなので、前方を見れば場所はすぐ分る。
3面連なってみえるビルの上部こそ、まさにフロントガラスにうつっていたかたち。
上層階は高級ホテル・パークハイアット東京。
だいぶ前に3階から7階に入っているコンランショップやOZONEに来たことはあるが、
建物の全容はよく分っていなかった。
東京ガス新宿ショールームを通り越し、中央公園側からパークタワーに近付くと、
前方に見えるガラス張りと連なる柱は、まさにスタッフブログの写真と同じ。
そこに向き合う位置に噴水がある。胸が高鳴った。

暑い季節だけに、水のしゃーしゃー流れる音は涼しげ。
キャンドルのように吹きあがっているかたちは、画面通り。
真ん中にはピラミッドを思わせるような、四面の三角形型のオブジェ。
その面は合わさっているのではなく、それぞれ隙間があいていて、
カメラはその隙間をズームアップしていたのが分った。

ここであの場面を撮影したのか、と感慨にふけりながら、
噴水やその向いがわのビル壁面や、ビル上部を撮影。
ここから中央公園側にまっすぐ進めば、
ハイアットリージェンシーも歩道橋も新宿住友ビルもある。
継美ちゃんの歩いたそれらの場所めぐりで、このあたりを駆け回ったのに、
パークタワーのことはまったくすっぽ抜けていたことになる。
調べてみると、ここでのドラマ撮影はかなり多いようだ。

これら車内場面は、昼の部分にしてわずか30秒あまり。
夜の部分と合わせても1分半もないくらいなのに、
なんと時間を費やして丹念につくられていることか。
それにしても夜の外苑銀杏並木を見て、
車は昼からずっとそこにあったようにみなしてしまったのは、
まさにモンタージュ・マジック。
ひとは映像のつなぎ方で、勝手に関連づけてしまうのだ。
見事に騙されていたなあ、と改めて感嘆。

*写真は左から順に
・車内のフロントガラス越しに見える噴水
 この一瞬のち、カメラはミラーにうつる俊輔の方に焦点を合わせる

・パークタワー前の噴水実景

・フロントガラスに映り込んでいる新宿パークタワー
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