どういう理由によるものなのか、1月号から「小説すばる」は立ち読みができなくなった。ゴムバンドがかけられているのだ。
好きな作家の新作チェックにと訪れた地元の書店でそれを見かけたとき、最初は何かの間違いかと思った。文芸雑誌ぐらい立ち読みしてから買うものも他にないからだ。きっと、本のことなど無知なアルバイトの店員が勘違いしただけなのだろう。
しかしそうではなかった。どの書店でも「小説すばる」だけが立ち読みできないようになっていた。
大手出版社ともあろうものが、何という誤った判断をするのだろう!
今、本が売れない時代なのは消費者の我々よりも当時者である出版社や書店が身に染みて実感しているはず。それを何とか打破しようと、書店も工夫をこらし、売り物の本を持ち込んで読んでもいいカフェを併設したりしているのだ。そんな時代にあって、集英社は「小説すばる」を立ち読みさせないのだ。どんな作品が収録されているかも分らない文芸雑誌をいったい誰が買うのだろう?
判断したのは誰なのだろう。編集者? 社長? たぶん、社内には「これはマズイよな」と思っている社員も多いと思う。
社員がそう思うぐらいなのだから我々消費者の失望感ははかり知れない。集英社が間違いに気づいて来月号から立ち読みできるようにしても、この汚点は長く残るだろう。筋金入りの読書家ほど集英社に対しての不信感はなかなかぬぐえないだろう。
すくなくともぼくはそうだ。
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