小説に関し、以前は再読というものをまったくしなかった。すでに知っている物語をもう一度読んだって新鮮味はない。それなら未知の作品を貪欲に読んでいこうとしていた。再読なんて、老人がやることだと思っていた。
五年ぐらい前、ふと「自分は死ぬまでにあと何冊読めるのだろう」と疑問が沸いた。
計算してみた。
ぼくは読むのが遅いので、ペースとしてはせいぜい週に1冊である。
週に1冊。
1年に50冊。
10年で500冊。
30年で1500冊。
がく然とした。読みたい本は山のようにあり、さらにこれからも増え続けようとしているのに、たったの1500冊。いや、これは多く見積もった数字なので、たぶん現実にはそんなにはない。
以来、ぼくの読書ペースは格段に早くなった。最初の50ページぐらいで興味を持てなかったら、あとはナナメ読みするときもあるほどだ。
同時に、再読をするようになった。もう一度読んでおきたい本はたくさんある。そちらを悔いのないように味わいたくなったのだ。好きなレストランに何度も通う心境に似ている。
最近は再読率が高くなっている。
海老沢泰久、村上春樹、星新一・・・・・・。
ちなみに今日から読みはじめた本は『村上レシピ』。
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