手帳をパラパラとめくっていたら、五月十四日の欄に「渋谷 オーデスト」と書いてある。
何のことかさっぱり分らない。
字が汚いところから判断すると、どうも酔っていたときに書いたようだ(まあ、酔っていなくても字は汚いのだが)。
「渋谷」という場所と「オーデスト」という言葉の響きにはライブの匂いがプンプン漂う。“渋谷にあるオーデストというライブハウスで開催されるライブ”ということかな。
だとしたらメモした場所はモジョの確率が高い。
カウンターで隣に座った誰かと話していてメモしたのだろうか。メモ党のぼくがやりそうなことだ。
だがまったく覚えがない。
カウンターで隣に座ったその人に「見に行くよ」とでも約束したのだろうか?
「まあいい、ネットで調べればすぐに分るだろう」
なんて甘く考えていたら話は簡単ではなかった。ヤフーでもグーグルでもヒットしないのだ。その代わり、お利口さんなサーチエンジンたちは「渋谷 オーベスト ではありませんか?」と訊いてきた。
「オーベスト」を「オーデスト」と聞き違えても無理はない。
迷わず「渋谷 オーベスト」で検索し直す。
やはりヒットしない。一位にヒットしたのは池袋のホテルメトロポリタンにあるダイニング&バー「オーヴェスト」だったが、行ったこともないし、そもそも渋谷じゃない。
かろうじて「渋谷オーウエスト」というライブハウスがあったが、五月十四日の出演バンドには見覚えがなく、演奏者にも心当たりがなかった。
誰かと一緒に見に行く約束があるならこんなにきれいさっぱり忘れることはない(と思う)。だからこのメモを無視したところで人様に迷惑をかけることはないだろう(たぶん)。
ただ、メモって忘れないように書きとめておくものなのに、それを見ても思い出せないという事実には愕然とした。
二週間もたつと、その五月十四日はやってくる・・・・・・ちょっと心配。
*はみだし
「入間の湯」では内風呂の一つに日替わりで薬剤を入れているのだが、先日は「コエンザイムQ10」というもので、お湯がザクロみたいに真っ赤だった。効くのか、これ?
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