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2011年11月24日21:16

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最悪なタイミング

 たとえば日中、何かの拍子に腰に痛みが走ったとき、腰痛持ちは反射的にこう思う。
「ヤッちゃった」
 そして全身に冷や汗をかく。

 先日の土曜日、ぼくが正にそうだった。
 一旦そうなってしまえば、過去の経験からその後の展開が読める。
 痛めたその日 ― 痛いながらも何とか動ける。
 二日目 ― どうにもならない。ただ安静あるのみ。
 三日目以降 ― 徐々に痛みが遠ざかり、だいたい一週間で元の生活に戻れる。
 問題はピークの二日目である。この日ばかりは痛み止めを飲んでもまともな生活は送れない。少なくともぼくの場合はそうだ。プロレスにたとえるなら戦意喪失という状態。あまりの激痛に、動こうという意欲も沸かない。今回もトイレ以外は一日中横になっていた。腰が痛いだけなのだから食欲はあってもいいようなものだが、なぜだが食欲もない。窓の外の青空を見上げ、ゆっくりと流れる雲をぼんやりと見て過ごした。
 で、何が最悪のタイミングだったかというと、腰痛二日目に当たる日曜日はモジョで中村まりのライブがある日だったのだ。
 たしか七月だったと記憶している。
 いつものようにモジョのカウンターで静かに飲んでいると、実に心地よいギターの音色と歌声が聞こえてきた。六十年代のアメリカン・フォークソングかと思った。
 あまりに心地よさにマスターにCDジャケットを見せてもらった。驚いた。日本人だったのだ。ネイティブなきれいな英語だったのでてっきりアメリカ人だと思っていたが、そうではなかった。
 その瞬間、ぼくの心の中にある「いつかモジョで聴いてみたいミュージシャン」リストに中村まりの名前が刻まれた。
 そんな事情があるものだから、モジョでのライブが決ったとき、すぐに予約も入れた。CDを買ってサインをしてもらおうと楽しみにもしていた。
 全部パーになった。
 国破れて山河あり。
 まあ仕方がない。人生ではこういうことは起こるのだ。

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