岡田斗司夫。評論家であり文筆家であり実業家のオタキング。
一九九五年のデビュー作『ぼくたちの洗脳社会』からずっと著書を読んでいる。
一九九五年といえば、一月に阪神淡路大震災があり、三月に地下鉄サリン事件があった年で、日本はこれからどうなってしまうのだろうという暗くて重いカタストロフィなムードが国全体を覆っていた。ぼくにもそういう不安はあり、ぼくなりに学習したり、将来に対する心構えのようなものを模索していた。
そんなときに出会ったのが『ぼくたちの洗脳社会』だった。それはぼくがおぼろげに考えていたことをより発展させ、具体的な事例を持って整理してくれた。読み進んでいくうちに「これだ!」と思えた。
たとえば岡田氏はその中で、これからの家族のあり方は希薄化すると予想している。これからは個人の価値観が最優先されるので、たとえ家族といえども、自然に家族全員が一緒にいることなどなくなってしまうだろうと。
パソコン時代前夜だった当時、その部分は「そんな極端な時代は来ない」、「人間味を欠いた未来像」と批判されたそうだ。しかしそれから十六年たった今、すでにぼくたちはそんな現実を違和感なく受け入れている。それどころか、家族がケータイでアポイントを取って夕食の約束をするのは、人間味を欠いているどころか、一家団らんを示すエピソードになっている。
また、『ぼくたちの洗脳社会』を大幅に改訂した、今年発表された『評価経済社会〜ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』でも、とてもいい勉強をさせていただいた。
「現在、ビジネスや経済が分らなくなった理由は複雑でしょう。でも、原因は簡単です。
インターネット社会が出現したから。それだけです」
深く納得し、思わずうなってしまった。
そんな岡田氏の著書をまた読んだ。
『人生の法則〜「欲求の4タイプ」で分かるあなたと他人』。
人間のタイプを分ける代表格は血液型や星占いだろうか。ひと昔前には動物占いというのもあった(ぼくはコアラだった)。
岡田氏はこの中で、「判定テスト」によって人間を価値観によって4タイプに分けている。指令型、注目型、理想型、法則型である。それは占いみたいに生年月日などで振り分けて、当たっているとか間違っているとかで楽しむものではなく、人間関係を円滑にするための補助線だと言っている。人は他人と完全には理解し合えない。でもどの程度理解できないのかさえ分れば、実は理解できるというのが岡田氏の考えなのである。
たとえば注目型の人間は、同じ注目型の人間とは深く理解し合えるし、隣り合う指令型と理想型ともある程度理解し合える。でも対極にある法則型の人間とは、理解し合うことはほとんど不可能である。しかしそのことをちゃんと認識していれば、人間関係を円滑でできますよ、と説いているのだ。
判定テストの結果、ぼくは理想型だった。理想型がどういう人間か、記述のすべてに納得しているわけではないが(すべてには納得しないところが理想型の特徴なのかも知れないが)、
「他人や社会からの評価よりも自分自身のこだわりの達成度のほうが重視される。だから、学校で人と比べられることや成績で順位をつけられることを嫌う」
なんてあたりは、返す言葉もないほどの大当たりだった。
ぼくの場合だと、理想型はもちろん、隣り合う注目型と法則型ともある程度理解し合えるが、対極にある指令型とはまったく合わないということになる。
この「判定テスト」、ネットにもアップされていたので紹介しておきます。
ご興味がある方はどうぞ。面白いよ。
http://www.facebook.com/fourtype?sk=app_10531514314
*今読んでる本・・・『100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影』。100年もの間解けなかった「ポアンカレ予想」を証明した男の物語。とても興味深い。
証明したロシアの数学者ペレルマンも、たぶん理想型だ。
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