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2011年04月05日09:44

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大草原の小さな家

 今、書店でこの名作シリーズのムックのDVDが発売されている。この番組を初めて観たのは高校生のときだが、その後、ぼくの記憶が正しければ二度再放送されている。合計三回。八年にも及ぶ大作なので、三回の放送は二十四年かかったことになる。気が遠くなるような長さだ。そして、全部で何話あるのか知らないが、ぼくは九割以上は観ている。
 好きなシーンはいくつもあるが、反射的にまず最初に浮かぶのは、いつもこのシーン。

 ある年、主人公の農夫チャールズ・インガルス一家が暮らすウォルナット・グローブの農作物が不作に見舞われる。経済的ピンチに陥った一家は総出でアルバイトを始める。チャールズは製材所、妻のキャロラインは畑仕事、娘二人は雑貨屋という具合だ。
 ある日、思いのほか仕事が早く片付いたチャールズが帰宅すると、畑で汗まみれになって働いているキャロラインを見つける。近づいて行くと、キャロラインがチャールズの存在に気づく。
「まあ、早かったのね。お帰りなさい」とキャロライン。
「顔が真っ黒だよ」チャールズが笑顔でやさしく言う。キャロラインの顔に土が付いているのだ。
「ひどい顔でしょう。ごめんなさい」とキャロラインがポケットからハンカチを取り出し、顔をぬぐいながら言う。「すぐに食事の支度をするわ」
 土埃によってキャロラインの髪のボサボサ、顔についた土だってまだ残っている。しかしチャールズは、愚痴一つこぼすことなくがんばってくれているキャロラインがたまらなく愛おしくなる。
「キャロライン」チャールズが改まった口調で言う。
「なあに?」
「結婚してほしいんだ」チャールズの顔は真剣そのもの。
「もうしてるじゃないの」キャロラインが笑い出す。
 するとチャールズはキャロラインの両肩を抱いて言う。
「もう一度プロポーズしたくなったんだ」
 そしてロングカットでのキスシーン。夕焼けの中、畑の真ん中で抱き合う二人。

 この回の物語はこれで終わりではなく、まだまだ続く。これは中盤のちょっとしたエピソードに過ぎない。このシリーズがすごいのは、特にハイライトでもない場面でこんな素敵なエピソードがあることだ。
 それはともかく、何だか、書いてて感動がよみがえってきた。

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