カルビーは、なぜエライか、
「カルビー、けしからん、売名行為だ」
官邸幹部が逆上している、という記事に猛反発が出ている。
「誰だー、そいつは」
「なに様だと思っている、出てこーい」
いいよーねぇ、猛反発。こういうのを民主主義と言いましてとても良いことです。それを、追いかけて
「けしからん奴らだ」
と官邸バカン部は言いたいのだろうけど、もうそれだけで反民主主義だから。言っときますけど。
なぜか。その言動は、
社会に上下の区別を付けたい人、あるいは俺たちが上の者、と信じ込んでいるという証拠だからね。
いくらかインテリジェンスのある政治家なら
「行き過ぎにならいように、ぜひ、政府の努力にご協力願いたい」
と下手に出るだろう。それが、民主主義の当然の姿です。
○
ナフサが足りているか、足りないか、これは互いに応酬中のところだからここからいくら話をしても長引くだけ(堂々巡りの恐れあり)。
では、どこから話しを進めるのか。
ぼくは、政府が「企業文化」を封殺しようとしている、というのが正しい視点だと思う。
カルビーという企業が持っている「企業文化」は風刺性です。
「100円でカルビーのポテトチップは買えますが、
カルビーのポテトチップで100円は買えません」
カルビーはこのワンフレーズで、ヒット企業になりました。
はじまりかけた「お金優先社会」をあざ笑うような名フレーズです。
藤谷美和子さんでしたね。この豊かな社会批評性がカルビーの塩味を(知らぬまに)奥深い風味豊かなものにしていて、
「うーん、ちょうどいい塩っけだ」
という、絶妙な声が生まれていたのですね。
○
こうゆう「企業文化」を持つ会社が、社会風刺をしてどこがイケナイんですか。ねぇ、官邸幹部様。
ぼくは、どうしても聞きたいよ。
もしイケナイというのなら、二つの視点で大問題です。
�ー匆馼�刺という大事な「言論の自由」を封鎖しようというのですか。
��固有の企業文化を押さえ込もうとしている、つまり民業圧迫です。
どちらも憲法違反で、しかも民主主義の根幹に関わること。そうゆうヒドイことを主張していることに気が付かないレベルなのかなあ、官邸幹部様は。
○
バカ幹部と世論のちょうど拮抗点にあるのが、芥川賞作家の柳美里氏のコメントです。
『カルビーは、苦しい「現実」を「見える形」にした。
その内容をマスコミに明らかにしたり、
パッケージ変更のように社会に「見える形」にした瞬間、「売名行為」だと政府に批判された』
「見える形」と「売名行為」、さあ、どちらに正当性があるだろう。
答えは簡単で、政府は「売名行為」などと罵っているまにナフサの現状について広報すれば良いので、まったく無駄で百害ばかりの言動ということになる。官邸幹部という地位でしか正当性を主張できない愚劣さが、あからさまに浮かび上がってくるだけです。
つまり、おバカさんなのです。
○
つまりねぇ、民主主義とそうじゃないもの(とりあえず国家主義的なものとしましょう)とのぶつかり合いが、このカルビー騒ぎには圧縮されていて思わず注目したくなるわけ。
見ようによっては独裁志向を思わされる高市政権、そこにバシャンと民(たみ)からの猛反発。
えー、こうでなきゃあ、いけません。
つまりこうしてぶつかることで、ゆらゆら見えなくなる民主主義の現在位置を知ることになり、時にはハッとして数メートルも押し戻すことができるのです。
カルビーは、なぜエライのか。
いままさに民主主義が曲がろうとしている世界のこの時期に、この日本に、「棹さそう」という心意気を感じるじゃあないですか。
カルビーは、(食品界が生んだ)現代の夏目漱石です。
これが、ぼくのいちばんの褒め言葉。
現代の夏目漱石は、たがわず日本の「草枕」を歩いています。
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