もう一度、吉田正尚をホメたい。
ーON打法の完成形としての、吉田スイングー
WBC2027、その強化試合の第3戦、吉田正尚がインサイド・アウト打法で見事なホームランを打ちました。京セラドームの5階席に届いた当たりです。
今シーズン吉田は手術明けで、完調ではないはずだが、
「だが、アレー、飛んで行くー」
結局、打球は5階席までスッ飛んで行き、ポーンと跳ね上がっていた。
で、あーそうだと思い出し、前回WBC2023でぼくが書いた文書を見ると、吉田正尚のスイングを日本打法の完成形と書いていた。読み返すと、
「そうだよなあ、そうなんだったんだよなあ」
という答えが今更ながら返ってくる。
(ここからWBC2023の文章に入ります)
○
「打つでしょ、ここ、ここで手首を返さない。これが、世界がビックリの特許技術なんです」
「特許で、もー大変なんですから」
えー、なんだ、お前は三平か。いいえ、川崎ムネリンです。
メキシコ戦の吉田正尚が放った3点ホームランについて、日本語がなんとも不自由な川崎ムネリンがバットを振り振りの仕方話で、ヘロヘロ説明します。ふぇ、ふぇ、まわりは、いつものムネリン語に笑うばかり。
だが、これねぇ、日本打法の秘伝でね、日本プロ野球70年の歴史が生んだ打撃理論のゴールでもあるわけ。ムネリン、言葉は不自由だが頭はさほど不自由じゃない(と思えるね)。
これは「ミートしたバットを(打球方向に)放り出す感覚で振る」という理論に沿っている。バットにボールが当たる、そのままバットで放り出すように振る。それは、打球にバットの力を全部のせよう、その力に方向を持たせまとめて伝えようという打法ですね。
さてと、この打法をいちばんはじめに言い出したのは誰か。
これが実に面白い。あのミスター、長嶋茂雄。ミスターのたくさんの言い伝えの中にあるものからまとめ上げたとされています。それをはっきり主張したのも、どうやら本人らしい。
えーと行きますが、それは、ミスターらしい奇想天外な理論をとなっています。奇想天外ですよ。
「バットにボールが当たる、そしたら両腿をグッと締めてチンポコが投手を目指して槍のように突き出すんだ。そこまでやるんだ」
えー、まあ、いろいろありましょうが、理に適っているようですよ。
「チンポコが投手を目指して槍のように」というところが欠かせないようで、ミスター・トークには必ず出てきます。
やや甲高い声、あの声で「ちんぽこが…」です。
で、この理論を(当時)週刊朝日が企画し熊本大が実験をした。バットの芯がどういう軌道を描き、ボールに力を伝えるかという実験です。図形化されたバットの芯の軌道は、チンポコ槍をそっくりなぞっていました。ホントです。
ミスター本人がバットを振る、そのバットの芯がミートしてから打球(が飛ぶ)方向に30�儖幣紊眇�びていた。円軌道が楕円に、さらに一部分が前方向にグィーンと変形していたんですね。フォーム通りです。つまりチン押しの軌道部分です。スイングスピードが生みだす力をさらに上積みする効果があることも実証データとして掴めています。
次があります。ミスターのほぼ倍、50�儖幣綢乃緤�向に芯を前に送り出すバッターがいたのです。王さんです。「飛ばし力」の差の元がここではっきり出たのですね。
つまりバット放り出し打法は、ミスターが開発し、王さんが完成したON打法と呼ぶべきものなのでしょう。
「はーい、レベルで入るんですね。そうして、前に振り抜いて行きます」
ほぼこのままの言葉を語りながら、バット握り振リ出すミスターの映像が残っています。思い出してください。ミスターの気持ちで聞けば、実にわかりやすく説明しようとしていたことが伝わりますよね。
さらに、長嶋、王と同じスイングスピードを持つ打者が当時の巨人軍にいました。淡口憲治です。
驚くほど速いライナーのホームランを打つのですが、本数は驚くほどには伸びませんでした。彼のバットの芯の軌道は、きれいなカラダの回転を想像させるやや円に近い、短い楕円でした。つまりツボに入らないとホームランにならない、という仮説が成立します。
さらにもう一つ、原辰徳(後の監督です)が入団した年に、ミスターは「回転だけで打っている限り、よくて2割8分バッターだよ」と予言しました。回転を軸にすれば、淡口的になる、という予言。
そうなりました。原辰徳の生涯打率はなんと2割7分9厘でした。
日本式の打撃術は3つのポイントでできています。(この体系化は、上のように長嶋さんからはじまります)
それは、
�.丱奪箸鯊�く振ること。(これは分かりやすいよね)
�� 〃 インサイド・アウトに振ること。(懐からバットが出てくる感触です)
�B乃緤�向にバットを投げ出すように振る。(回転ではなく、大きなフォローです)
話はググーンと戻りますが、なもんで吉田正尚の打法こそON打法の正統を継ぐものとぼくは評価しています。
上の�´↓�をスマートに一元化しているからです。
「前のポイントで打てましたね。ボールにいいスピンを与えることができました」
吉田は強化試合の後のコメントで、語っています。�´↓�がなめらかにスイング・フォームとして一元化されていることが、コメントからよく理解できます。(映像で見ればもっとわかりやすい)
なかでも、この文の主題��の効果が発揮されていることがわかりやすく表現されています。
○
マッチョにこだわり過ぎて、(大谷と比べ)体が堅そうに見えるなどの気になるところはあるにしても、日本野球の打撃でのひとつの完成形であることは変わらないでしょう。
ちなみに(曲線で振る)バレル打法の部分を除けば、大谷と吉田のフォームはそっくりです。もちろん大きさはだいぶ違いますよ。
ぼくは、
「レッド・ソックスはきちんと評価してほしい」
と常々思っています。えーと、かなり不満です。
だから、ね、どうぞ打っちゃってください。それでまだわからないというのなら、レッド・ソックスから他に行く方法だってあるじゃないですか。
それが、フエアな気がするのだが、どうですかねぇ。
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