上島竜兵こと竜ちゃんの一周年(一周忌)の祝いの文章がありまして、またぞろ読み返しました。するとねぇ、いいこと書いてある。グシュン。
竜ちゃんが作り出したものはなにか。これが時代をスライスするように書いてある。竜ちゃんが、一過性の単なるお笑い芸人ではなかったこと。えー、単なるお笑い芸人でも悪くはない。悪くはないが、実のところ竜ちゃんは、(後から気づくのだが)生きてるバカボンだった。
必死に生きてる単なるお笑い芸人をカメラは追いかける。カメラから逃げ回り、逃げ隠れするうちにお笑いはテレビというハコからハミ出していた。パンツからアレがはみ出したのと同じこと。
思わずなんだなあ。思わずだから、本人も知らないうちに芸となっていた。
本編はここから下に続きます。本編の方が、ずーっとためになる話があります。竜ちゃんが作った時代てぇのを書いています。竜ちゃんの時代とはなあにぃ、とみなさん思うでしょ。
実はねぇ、タケちゃんの時代は、竜ちゃんがスタートさせたという、まあ、ぼくなりのの新説です。これを言わないと、と竜ちゃんのために思うわけです。
○
えーと、まもなく5月でして、まことに偉大な方がなくなりまして一年です。「一周年おめでとうございます」を大きな声で言いたくなったなあ。
そのめでたい方の名は上島竜兵、えーダチョウ倶楽部の竜ちゃんです。芸に詰まっている様子がそのまま芸になる、(いま命名したばかり)詰まり芸の竜ちゃんです。
ちょいとアドリブを仕掛けられるとすぐ詰まる。まずククックッと声が引っ掛かり、何とかシボり出そうと5cm位ジャンプする。これがいかにも本当の5cmだ。けれどすぐに新ネタが出るほど世の中、甘くない。竜ちゃんのオツムも毎度シブい。「訴えてやる」とか約束モノでどうにか逃げ切るんだなあ。
実は「訴えてやる」が出たのさえ大分たってから。苦しみ、苦しみの果てらしい。
でも、ホメたいなあ。
というのはね、竜ちゃんはとても大きなことをしたんだぞ。その評価、少しも世の中に出ないじゃないか。と思うのです。
当時(80年代末かなあ)日テレに「スーパージョッキー」という番組があって、たけしが軍団相手に悪ふざけのし放題番組だった。だったんだけど、こいつがだんだん煮詰まって「ランマー健康法」という企画さえ出てきちゃった。
白パンツのダンカンの上に厚さ1cmのコンパネを敷いて。
上から土を均(なら)すランマーをドカドカドカ。
よせやい。手がすべりゃあ内臓破裂だよ。
このシリーズ、若者には大人気だった。けれど欠点があったのさ。たけしの相手が言わば身内の軍団だということ。仲間が寄り集まって悪ふざけ、この印象がどうしても拭えない、ふっと口に出そうなのがあの言葉。
足立区タッチの悪ふざけ。と言われなくてよかったね。でてりゃ、この悪口で即死だよ。
ここで、上島竜兵とダチョウ倶楽部、特に竜ちゃんだよ。
「押すなよ」「絶対に押すなよ」、、「押せーッ」の熱湯コマーシャルの出現です。これが悪ふざけをひと皮むいた。ノドから手の出るほど欲しかった芸のカタチになってきたのです。
身内じゃないから仲間イジメのエヘラ笑いが出ない。辛い中でもひと芸したがる竜ちゃんとダチョウ倶楽部。これが、あの時代の「たけし企画」を化(ば)けさせた。そうなんだよなあ。ここからやればやるほど、お笑いに必須のリズムや人間味が取りこまれ、笑いの厚みが出てきちゃった。
痛い思いをした竜ちゃんが、鳥打帽を目深に「訴えてやる」と突撃、その姿はまさしく弱き芸人そのもの。「きつい、つらい」と言わずになんとかなんとか芸にした。よくがんばった。
世の中の人も「面白いからマアいいか」と悪ふざけ企画にややスキを見せた。早かったねぇ、このわずかな市民権をあてにして「元気が出るテレビ」「TAKEちゃんマン」といった危ない「突き抜け企画」を局が暴走というか発走させた。
こんなところが、あの時代のお笑いの様相ではないだろうか、とぼくは思う。
(「スーパージョッキー」と「元気が出るテレビ」は被っている、などシノゴノ言うものはいるだろうが、流れはまさしくこうだと思うよ)
「足立区の悪ふざ芸」を芸に仕上げた偉人、上島竜兵をわたしは表彰したい。これが本日の締め。
「お笑いウルトラクイズ」で、部屋の中から20m超えの巨大クレーンで打ち出され、やや手違いから湖の中にドッボーン、高々と水しぶき
「ビート、俺を殺すきか」
とグショグショに泣きジャクていた竜ちゃん、あれは本気か、芸なのか。
どちらかわからないのが芸なんですね。はーい、一周年おめでとうございます。
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