◯2006年10月19日の日記再掲載
[汚れちまった青春ー11]
待ってください
20才になるまで。
ぼくは大学2年生だった。けれど仲のよかった金野は、ひとり2浪中だった。
1浪はいても2浪はやつぐらい。それでやつがモンモンとしていることは知っていました。もともと高校時代からモンモンする性格なのです。ぼくは加藤に声をかけ、金野をドライブ旅行に誘いました。場所は、あの伊豆の白浜。加藤に声をかけたのは、何よりクルマをもっているし、同じ仲間だからです。
出発の時、金野は、バッグの他に紙袋を2つ下げて来ました。
「なんだ、それ」
「いやあ、もー、捨てようかと思って」
紙袋の中はパンツで一杯だった(すいません、代わってあやまります。女物です)。
「どうやって、こんなに」
「いつ間にかね、2年ちょっとだけどね」
「コンノ、コンノヤロー、俺に言え、手伝う」
加藤は激しく怒っていました。
「おい、1kmで1枚ずつ捨てていこうよ。伊豆まで200kmあるし」
というわけで捨てはじめたのだけど。
でも、第3京浜はきつかった。
「どんなパンツか見てもいい」となっているのだけど、とてもそれどころじゃない。ばんばんメーターは上がる、捨てる。メーターは上がる、捨てる。
捨て番の加藤は叫んだ。
「俺は、パンツの奴隷か」
そう言ってる間にも、ヒューンと飛んでいきます。
待ってください
わかれの言葉
伊豆の白浜に近づいても、残りの半分近くがまだ残っています。仕方ないので、手前の稲取のビーチでゴミ箱にドボンです。
「あー、さっぱりだ」ぼくはね。
その夜、ぼくは金野にじっくり聞きました。
「いったい、どこがよくてだよ」
「いただくんだよね。その時、緊張するだろ。
家に帰ってね、想像するんだ、頭の中で。
緊張してくると、気持ちがいっしょになって、いいんだ」
「巨大パンツでもか」
「うーん、ぜんぜん気にならない。
それは、ちがう人ってことで、独立したよろこび」
「独立なんて言葉を使うなよな、ほんとに」
「つまり緊張するのが、いいのか」
金野は、素直にこっくりさんでした。
次の日、帰り道
「おい、残りはないか」
というともぞもぞと隠し「お宝」を2枚だしました。
いやいや、もー、笑いだしたくなった。
「おい、おい、刑事ドラマじゃないぞ」
「となると俺は「パンツ刑事(デカ)か」
ぼくことパンツ刑事はその「お宝」をじっくりながめ、ウシロの席で金野の話しをそれなりに確かめました。すると
「効いてきました」危ないので、ぼくは、あわてて捨てました。
「ほんとに、もー、危ない」のです。
東京に戻り、ぼくらはその後、あまり会っていません。
次の年、ぼくらは20才になりました。
金野は志望校のほとんどに落ちて、ひとつだけ受かり「なべやかん」の先輩になりました。「きんの(金野)やかん」です。
20才になれば
ひとりで歩ける。
注:時代の香りをとどけたくて、中島みゆきさんの詩を、使用させていただきました。
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