mixiユーザー(id:5708627)

2023年04月10日02:07

179 view

ぼくが「直次郎」という名にしたワケ。

注:2012年3月26日の日記の再掲。 「ぼくの落語論5」で江戸の話をしまして、ひとつ江戸前の極致をお伝えしようと再掲。後半部です。作は明治、作者は河竹黙阿弥。いろいろな視点の江戸前がありますが、町の子の姿に生きる江戸前が見事に伝わります。


 これね、古い話しなんだ。

 20代の終わり頃、句会がはやってね。D代理店に勤めている頃だった。いまは作家になっているCMプランナーの馬場くんというのが
「どお、ワシらもはじめよう」
と持ちかけてきたんだ。
「青山墓地裏に安くてうまい寿司屋があってね。ニ階の座敷を貸してくれる。月1
で、どお。春なんぞはいいよ。桜、ぱらぱらだし」ときた。

 まあ、この話しのるよね。

 で、すぐに必要になるのが俳名だ。ぼくは即座に「直次郎」としたわけだ。
 その時には自分からイワレは言わなかったよ。もうすでにして、わかってもらえるとは思わなかったしね。

 それから数年後かな。
 旧制一高出身で、見事にリッパなアル中で、ゲッソリ痩せたヨレヨレの白髪で、女房子どもにも愛想尽かしされている身の上、風貌ともに(囲碁の)藤沢秀行先生そっくりな沼さんという編集者の方がぱっと耳にして
「ははあ、直侍(なおざむらい)ですか」
ときたもんだ。

 うれしかったね。通じる人間、あらわる、あらわる、だよ。

「直侍、粋筋でいいからね。誰の⋯」
「そりゃもう団十郎、と言っても11代目ですよ」

「ほほーう、見てるの11代目」
「(思わずキリッと)見てます」

「入谷御寮だよね、やっぱり」
「縞の半天、尻っぱしょり、蛇の目を七三にかまえてね」

「三千歳(みちとせ)は⋯」
「大谷友右衛門でございます」

「それもいいやね、色っぽいや」
「ありがとう、ございます」(なんだか自然と意味不明の御礼)
 
「ドドーンと太鼓で、雪が降る」
「駆け出す、直次郎。格子越しに三千歳の声」

「花道の七三で立ち止まる。一度振りかえり前を見る」
「生きてるうちは、会わねぇぜぇ」
「見切るように、蛇の目を深くして、タッタッター」

(白塗りの足が、あー、花道を消えてゆく)

「あーたね、ああいうものを見てるんじゃいけませんよ」
(もはや沼さん桂文楽だ)で、ぼく
「11代目恋しで、ございます」

 というような話しを延々としましてね。そう言えば、あたくしが直侍風とか団十郎似とかは残念ながら沼さんから一切なかったね(もしかすると言い忘れたのかな。そーに決まっている)。

 というようなワケで片岡直次郎こと直侍の、直次郎なのですよだ。

 ところがだ、この話しとっくに通じない話し。中味をもっと知りたい方は
「雪夕暮 入谷畦道」とか
「市川団十郎(11代目)」をお調べください。
 大谷友右衛門とは、つい数日前亡くなった中村雀右衛門です。(日付は当時)

 古いけど、これ通好みの話しです。どういう通かと言えば、外題から役者、何から何まで江戸前の好みです。
1 1

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年04月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30