You say goodbye、I say hello.
君はサヨナラと言い、ぼくは「今日は」と言う。
そうなんだ人生のほとんどは、行き違いできていて、一番大事なことを言い損なって過ぎて行く。
おーい、「昔くん」。戻ってきてくれ。頼むよ、ねぇ。
背中を向けた「昔くん」のやつは、まるでぼくの声に気づかずに背中を向けて歩いて行く。
「昔くん」のやつは、どんどん「いま」から遠ざかって行く。
わずか1行で、この人生の真実を言い当てたソングライターは、
「ほーら、わかるだろ」
と、遠くの方を見て片目をつぶった。
○
いやだよー、少しだけ、もう少しだけいいかなあ、待ってもらえないか。
ぼくは、まだまだ君と話したいのさ。と、もう少しゴネてみる。それでも、なにも答えは帰ってこない。
I don't know why you say goodbye, I say hello
なんで君はグッバイって言うのかな、ぼくはハローって言ってるのに。
この歌は自分たちのマネージャーで、亡くなったブライアン・エプスタインを追悼して作られたとされている。
けれど、作っているうちにその歌が「人生を語る歌」になっていることにソングライターは、ビックリしはじめる。
ブライアンに追いすがるような詩はとてもリアルで、いつもの気楽な声かけの延長のような言葉になっていて、一節歌うとブライアンの人生が振り返りそうな気がしてきた。
○
You say yes, I say no
君は「いいよ」と言うけど、ぼくは「だめだ」と言う
You say stop, and I say go, go, go
君は「やめとけ」と言うけど、ぼくは行くよ
Oh no You say goodbye and I say hello,
そしたら、君はサヨナラだと言うけど、ぼくはこれからもやって行くよ。
普段の日の、少しの食い違いがサヨナラを作っていく(そうかもしれないね)
Hello, hello Hello, hello,
ぼくは頑張っていくさ、聞こえるかいハロー。
Hello, Hello I don't know why you say goodbye, I say hello,
どうしてどうしてなの、君はサヨナラと言い、ぼくは「今日は」と言っている。
Hello, Hello I don't know why you say goodbye, I say hello
ぼくはやって行くさハロー、けれど君はサヨナラと言っている。
I say high, you say low
ぼくは高いと言う、だけど君は低いと言う
You say why, and I say I don't know
君はなぜというが、ぼくにはとんと分らない
Oh no You say goodbye and I say hello
仕方ないね、君はサヨナラと言うけど、ぼくは「今日は」と言うよ。
(Hello, goodbye, Hello, goodbye)
ハロー、サヨナラ。ハロー、サヨナラ。
Hello, hello (Hello, goodbye)
ぼくはやって行くさ、だから、ハローとサヨナラさ。
○
人はなかなかぴったりとはならないものだね。人はいろいろな姿をしていて、時たま合わせているだけで、つまりはそれぞれ違うものなんだ。
ぼくは蜻蛉を思い出す。
どこからかやってきた蜻蛉は、相手を見つけるとまず方向を合わせようとする。風の向きなのかな、光のなのかな。
さ、そのお互いの秘密は、わからない。
方向が揃う、そうすると次は、高さを合わせようとする。
上になる、下になる。交互に高さを入れ替えると、相当の時間をかけて(高さという言葉を掛け合いが終わり)決心をしたようにひとつになる。
そして、
You say goodbye、I say hello.
君はサヨナラと言い、ぼくはまたねと言いながら、
どこかに分かれて行く。
蜻蛉のいなくなった空白には、もう次の風が吹いている。
○
You say yes, I say no
君は「いいだろ」と言うけど、ぼくは「だめさ、そんなこと」と言う
(I say yes but I may mean no)
(ぼくは「いいよ」言いかけて、やっぱり「だめだ」と言う)
You say stop, and I say go go go
さあ、君が「やめとけ」と言うけど、ぼくは続けるよ
(I can stay till it's time to go)
(ぼくはその時まで、ここに踏みとどまるよ)
Oh no You say goodbye and I say hello
仕方ないね、君はサヨナラと言うけど、ぼくは「今日は」と言うよ。
(Hello, goodbye, Hello, goodbye)
ハロー、サヨナラ。ハロー、サヨナラ。
Hello, hello (Hello, goodbye)
ぼくはやって行くさ、だから、ハローとサヨナラさ。
○
ブライアン・エプスタインのアシスタントだったテイラーがポールの家にやってきた。
「ポール、君はどうやって曲を作るのだい」
「オッケー、ついておいでよ」
ポールはテイラーをダイニングに連れて行くと、ハーモニウムをを手にしてこう声をかける
「さあ、テイラー、正反対の言葉を叫んでくれないか。次々さ、かまわないから。大きな声でね」
「白と黒、イエスとノー、高いと低い、そうさ、サヨナラと今日は、もあるね」
ポールは、テイラーの言葉を次々と歌にしていった。
「ブライアンのことを曲にしたつもりだったけど…………人生の全部を歌にしちゃったみたいだね」
ポール・マッカトニーの1時間の奇跡だったのかもしれない。
答えをそのままタイトルにした。人生は、「ハロー・グッバイ」さ。
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