26年ぶりに解決した西区殺人事件についての疑問です。
「すべての最有力参考人をDNA鑑定で確認捜査しよう」
これがはじまりで、自分のDNA資料を提出した安福容疑者は
「もう逃れることが出きない」
と承知し、出頭したことで解決したようです。
ここで疑問。
なぜ(警察の言う)最有力参考人のDNA鑑定がここまで行われていなかったか。不思議じゃないですか。
「思いもつかないヒトなので…」
とご主人、高羽悟さんは言うのだが、それとは別に警察は最有力参考人という呼称をあげています。
「早めに潰しておかなければいけない案件が放置されていた」
ということがうかがえます。
それは、なんらかの事情で「当初のDNA鑑定でシロ」とされ、塩漬けされここまで来てしまったと考えるのが妥当ではないでしょうか。
○
なんらかの事情とは何か。それはDNA鑑定の方式にある、と言うのがぼくの見立て。
DNA鑑定は1980年代の末頃から、捜査に採用されます。科学捜査の新しいエースとして大歓待でした。しかし、事実は少し不具合を抱えていました。
その当初の方式はMCT118法と呼ばれるもので、人物特定率も低く、しかも(後になって言われることですが)アナログで処理するので精度に問題のある鑑定でした。足利事件の冤罪はここから発生しています。
この問題のあるMCT118法は、1990年代に捜査にさかんに使用されます。不具合があっても大いに喜ばれたのも事実です。
この問題点を一掃するものとして登場したのがSTR法です。2000年を過ぎてから全国の警察に徐々に採用されていきます。この精度の高さは
「日本人にひとり」とか
「世界にひとり特定」
とよく言われる桁違いの人物特定率。STR法の精度は、事あるごとに
「うわー、スゴイ」
と驚きの声を呼びました。確かにすごかった。このSTR法の採用でDNA鑑定は、「証拠の王様」の位置を占めることになります。
○
ところがです。西区殺人事件の発生は1999年、MCT118法からSTR法に切り替わる直前の事件。
初動時の重要参考人は、ほぼ全員MCT118法によって鑑定されたのではないか。そうして次々とシロが出て塩漬けされていった、というのが事件捜査の真相ではないのだろうか。(あるいはまぎれて、しまった)
新たな捜査提案というのは
「誤鑑定されたかもしれない参考人を、STR法によってぜんぶ洗い直そう」
というものではなかったのか。とぼくは読み解きます。
もし安福容疑者が、一度もDNA鑑定を受けていなかったのなら、そもそも警察の言う最有力参考人の呼称には問題があります。
「新たに特定された…」
という意味づけがされ、報道されるべきで。そうでないと、いささかモッテいることになるし、初動以来の捜査モレの可能性さえ生まれます。
○
この事件の解決が警察の「お手柄」であることは間違いないでしょう。様々に積み上がった苦難を越え、解決したのですから。
それはそれにして、(この事件では確定していないが)MCT118法は多くの問題を巻き起こしています。
足利事件で言えば、(STR法ではありえない)まったく違うDNAを合判定しています。同じ事例の事件としては「飯塚事件」がある。こちらは、すでに刑が執行されています。
*ただし検察は、「飯塚事件」についてはMCT118法によるDNAの判定を犯人特定の主たる根拠としていない、としている。
なぜ、「お手柄」である事件にイチャモンをつけるのか。
警察は、どうしてもMCT118法に触れないように、触れないようにしていると思えるのだが違うだろうか。そ知らぬ顔して遠回り。もしかすると隠しているのかもしれない。
だから、いまひとつ要領を得ない捜査説明が続いている、と見えてしまうのです。
(この事件では確定していないが)MCT118法についてもっと謙虚になろう、(もういいじゃないか)政治的判断をやめて、オープンで科学的になろうよ、というのがぼくの意図。
そして、(謙虚になって)MCT118法が主導した事件を洗い直す根拠になれば、と思っています。
すぐに上がるのが、北関東連続少女殺人事件。
「パチンコ屋さんから居なくなった真実ちゃん」で記憶される事件もそのひとつだが、ここにも新しい答えは見えてこないだろうか。(全くの素人考えだが)ふと、そう思う。
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