どっちも快しとしないだろうけれど、似ている。
「その方は、どちらの方なんですか」
「あんたたち、なに言ってるのよ、反省しなさい」
などとどちらもきっぱり否定するね。
でも、無理。似過ぎてる。本人たちもどっかでわかっていたと思うよ。
「菅井さん、母さんって呼んじゃおうかなあ」
と大久保佳代子が言う。すると
「うちの娘は、失礼ですけどあんなブスじゃありません。ちゃんと嫁に行けました」
と菅井さんが答えたりしてぷいと横を向く。こりゃ、いいや。
菅井きん 1926年(大正15)生まれ
大久保佳代子 1971年(昭和46)生まれ
45歳差ですか。となると、ここだけの話ですよ、他所で言っちゃあだめですよ。
ブス女中面(ズラ)ですかね、二度と言いませんよ、これ最後、ブス女中面(ズラ)、ああいう個性あるお顔の方は半世紀に一人くらいづついる、という説がこれでなり立つんですかね。
「あたしらは顔だけで成り立ってんのか」
えー、そうです。
あとはあの顔に自然とついてきます。磁石の砂鉄。ゾロゾロです。あけすけないシャベリも、小憎らしい表情もゾロゾロです。だって菅井さん、「仕事人のシュウト役、ずい分苦労しました」とか言ってますが、実のところすーっと芝居が出てきたと言うじゃないですか。
大久保さんはひどいよ。まだ半素人の「めちゃイケ」の頃からほぼ素のまま。抜け抜け図々しいブスをままやっていた。よく言えば、立ってるだけで「ブス芸」になっていました。(古い話ですが「めちゃイケ」で)函館まで加藤浩次にノコノコ付いて行った時には、図々しさもここにきわまれり、でした。
菅井きんさんは東大の職員だったんですよね。そのお堅い仕事を辞めて
「お父さん、わたくし女優になりたいのです」と申告すると
「女優とは美しい女性がなるものです」と言われたそうですね。
お父様のご意見もっともですが、半世紀に一人くらいの余裕はあるわけです。
大久保さんは千葉大ですよね。文学部文学科。仄聞によりますと、名うてのブスでございまして。
となりますと、そろって国立系という奇跡のような出来事なんですね。
誤解されるといけないから言っときますが、ぼくはお二人とも好きですよ。
どうしてかなと言えば、ホントらしいから。どだいぼくは顔なんかついてればいいという方でね。カタチに拘りません。もし言い出せば
「あんたに言われたくない」
とすぐさま言い返されるのがオチ。それを言われたくないからそーっと生きてます。
菅井きんと大久保佳代子の顔、あの岩石のような顔には真実らしさがあるんだろうな。
その真実らしさってなあに。はい。嘘のつけない顔です。(内緒ですが、あの顔で)嘘つきだったら少し刺激が強過ぎます。
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