「大谷が打つとあきれて笑っちゃう」
と言う人が多い。解説者(特にアメリカのキャスター)がそうだね。ぼくはあまり意識していなかったのだけど11号のセンターバックスクリーン越えを見て、知らず知らず思わず大きな声で笑っちゃった。
「アレ、おれ、笑ってるぞ」
と気がついて、また笑っちゃった。
○
いとも簡単に、桁外れのことをするから、と言うのが大方の意見のよう。
ま、そうだね。
いままでの常識では測れないことをするので、判断を保留して、見上げるような姿勢で見ている。とりあえず見上げているので、思わず笑みがこぼれる。と言うような様子、あ、花火を見ている人かね。空を見て、
「大谷ーっ」
パチパチパチ、ウワーィ。
○
あたってはいるのだけど、少し異論ありなんですね。
通常のホームランの飛距離は100mから、そして大谷の特大弾は140m。確かに大きいがそもそも人間離れしているとは言い難い。それに怪物級のパワーや飛距離を誇るやつは、他にもゾロゾロいるよ。オルソンなどは良い例で、見た目からして向こうは化け物級だ。
けれど大谷は別格だ、さあ、どうしてなんだろう。
○
えーと答えから行きます。
大谷は「鉄腕アトム」なのです。
子供の顔をしたスーパーパワー。子供が備えた万能の能力。手塚オサムが生み出した人の夢、「鉄腕アトム」がユニフォームを着てスタジアムにたつ姿、そいつが大谷です。
ホームランはもともと人の夢、だったよね。大谷が打つたびに
「随分前から手垢のついていたホームランは、ベースボールができた時のまっさらな夢の姿を取り戻すのさ」。
大谷は、そういう素晴らしいことをやっているのさ。
ヘルメットをあの尖った髪の形にしたとしてみよう。
さあ、思い浮かべて。
似合うと思うし、もっとすごいことが起きるよ。
夕暮れに2本のツノついたヘルメットを被った大谷がバッターボックスに入る。日本人のほとんどは大谷がアトムの生まれ変わりと信じると思う。疑いもしないよ。だって無意識の中では、とうにわかっていたことだから。
○
やがて大谷が普通の人になる日が来るかもしれない。きっと来るのさ。(例えば、子供が生まれたらアトムは難しい)
「素晴らしい夢だったなあ」
と言うときに、ぼくが大谷は「鉄腕アトム」だったと言ったことを覚えていて欲しい。
「そうだったね」と言ってくれるかな。
野球の夢を、子供の夢に戻した大谷「鉄腕アトム」。ぼくらは天満博士が夢見た永遠のまっさらな生命を、大谷の野球の中に感じていたんだ。これが、笑う答えだ。
ログインしてコメントを確認・投稿する