『クローズド・ガーデン』

『クローズド・ガーデン』
（原題、Novitiate）
https://www.youtube.com/watch?v=qCmLLiv0EBM

　だいぶ前に購入した輸入DVD。こういう時だからこそチャンスとばかりに鑑賞。
（未公開だが日本でもDVD発売アリ、配信は有料だがYouTubeやアマプラにもある）


　キリスト教に疎い私には説明が欲しいところだが、いわゆるヨハネ23世教皇の行った「第2バチカン公会議」をバックグラウンドにしたドラマ。
敬虔なクリスチャンではない（…というかむしろ親は無宗教）の家に生まれた少女キャスリーンは貧しさゆえに修道院の制度を使って神学校に通う。
それをきっかけに信仰心に目覚める少女。
やがて親の意に反して修道女を目指すことになる。
しかし、それは厳しい試練の道でもあった。

　第2バチカン公会議が何のことか分かる人には先の展開も読めるかもしれないが、古いしきたりの中で守られていた教義に大ナタを振るった決議のこと。
終始、修道女を目指すキャスリーンの目線で語られるが、むしろ本作の主人公と言えるのは厳格なまでに教えを守ってきた女子修道院長マザー・クレアだろう。

　この鬼ババのような（笑）修道院長を演じるメリッサ・レオの迫真の演技は本作の白眉。
格の違いをまざまざと見せつける。
子供の頃に見たら憎たらしく思ったかもしれないが、社会人を経験するとこの鬼ババ修道院長に共感を覚える点もなくはない。
あの当時の修道院の生活様式が見て取れるのも興味深い。
修道女たちの、文字通り神に身も心も捧げるという式典も門外漢な私には勉強になった。

　難しい時代や苦しい環境の中で進むべき道を模索する姿は人類永遠のテーマかも知れない。

　本物の教会で撮影されただけあり、リアルさも十分に伝わる。
何より歴史の教科書で読むよりも理解は深まるだろう。

　サンダンス映画祭 審査員特別賞受賞。
なおDVDにはもう一つのエンディングも特典としてついているが、本作の方に余韻が感じられてベターだと思う。