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2016年11月16日01:14

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『ダゲレオタイプの女』

ダゲレオタイプの女

 黒沢清監督がフランスで映画を撮る。
それも日本人が出演して舞台だけ拝借して…ではなく、キャストもスタッフも外国人というのには驚いた。

 タイトルになっている<ダゲレオタイプの写真>が作品の性質を決定的にしている。
撮影するときの死んだかのような長時間の姿勢保持だけでなく、直接画像を定着させた銀板を鑑賞用にするので“1点もの”であるし、わずかな衝撃で“もろく壊れやすい”特徴を持つ。
まさにこの作品の核心を突いた設定だろう。
最愛の妻を亡くした男が取る行動の狂気じみていることこそ、彼が過去に“固定”されていることに他ならない。

 ダゲレオタイプ撮影をするステファンのもとに助手として働き始めた青年ジャンがモデルとなっているカメラマンの娘マリーと悲劇的な恋愛を繰り広げるミステリー色あるロマンス。画面の美しさからゴシックっぽくもある。

 黒沢監督は全面的にフランス映画としたことで恋愛要素を増やしたと聞く。
やはりロケ地やキャストが方向性に大きく影響を与えるのだろう。
出来上がった作品を見ればそれも納得で、同じ題材を日本で製作したら、きっとこうはならなかったのでは?

 生死も現実と幻想の境目も曖昧になるあたりは黒沢清映画らしい。
不安にさせる固定器具や薬品の効果もジワリとあるのだが、それでも怖さよりも美しさが先に立つ。

 ジャン役のタハール・ラヒム、マリー役のコンスタンス・ルソーは概ね納得だが、ステファン役のオリヴィエ・グルメにもう少し狂気めいたものが欲しかったか。

フォト


 個人的には娘のあの“驚愕シーン”の撮影秘話を聞いてみたい。

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