『
われらが背きし者』
人のいいのもたいがいにした方がいいのか。
英国人夫婦はバカンスで訪れたモロッコでロシアンマフィアにUSBメモリーの配達を頼まれる。しかし“子供の使い”だったはずがとんでもない事件に巻き込まれる…。
旅先で知り合った見知らぬ異国の人物、しかもマフィアのいうことを聞くなんてにわかには信じがたいし説得力には欠ける気もするが、家族愛の情に共感したのだろうか。
冷戦が終結して今なお胡散臭い話題がニュースにのる国ロシア。
オリンピックのドーピング問題然り、シリア空爆などこちらから窺い知れない謎はいまだにある。
そんな国だからこそ、スパイ映画の敵として説得力が出る。(苦笑)
MI6出身のジョン・ル・カレ原作の映画化といえば『裏切りのサーカス』が思い浮かぶが、それよりも随分と分かりやすい<
巻きこまれ型サスペンス>。
スリリングな展開を素直に楽しむ。
正義感あふれる英国人教授を演じるユアン・マクレガーの正直者顔がよく似合う。
加えて北欧の個性派俳優ステラン・スカルスガルドの重量感が強い印象を残す。
次期007候補に名前もあがるMI6諜報員役のダミアン・ルイスの冷徹な風貌もいかにもという適役に思えた。
ロシア、英国、スイス、モロッコといった舞台も魅力的。
冷たいトーンの映像もスパイ映画らしい効果を発揮する。
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