『エール！』

『エール！』

　原題の直訳は『裏切り者家族』。
なんともエゲツないタイトルだが、これが邦題になるとスッキリ美しくなる。（笑）

　フランスの片田舎で聾唖の両親と弟と暮らす少女ポーラ。
音楽が大好きで、歌手を夢見る。
だが、聾唖の家族の耳と口の代わりになれるのは自分しかいないと半ばあきらめモード。
そんな折、音楽の先生の後押しもあり、音楽学校への挑戦を考えるが…。

　授業の＜ドン・キホーテ＞の暗喩から丸っと読める鉄板映画。
自分の夢を優先させるのか、家族への思いを大切にするのかといった中で葛藤する様は誰もが共感できるだろう。

　家族の反対は理解できる。
自分たちが不便を強いられることもあるが、何より耳が聞こえないので、彼女の実力を評価しようがないのだ。
しかし、一方では子供の夢を大切にもしてやりたいという親心もあり、こちらも葛藤する。
聾唖の両親目線で演出されたドラマチックな箇所が見所だと思う。

　定番の話だが、ちょっとした所に目が行く。
ヒロイン＜ポーラ＞が練習ために＜ガブリエル＞を自宅に呼んだ際の身なりとか、またその反応とか…。男の子と女の子の差なのかな。（笑）

　ポーラを演じるルアンヌ・エメラは人気オーディション番組『The Voice』で絶賛されて歌手デビューしたというが、彼女自身の歌声が実際に使われているのも説得力がある。
しかし、ポーラの高校生にして初めての○○って！？（笑）

　間口の広い映画で、嫌みのなさはいいとしても、いくつか未回収の問題が残ったのは気がかり…。



　
試写会＠京橋テアトル試写室。（10月31日より公開）

一度行ったことがあるので、大丈夫と油断してたら迷った…。
随分前だし、昼と夜では風景が違うな。（間に合ってよかった）