mixiユーザー(id:11939455)

2015年05月13日00:54

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『海にかかる霧』

海にかかる霧

 すべては貧困がいけないのか、ただ生きたいだけでは生きられない厳しい現実の前に希望を飲み込む霧が立ち込める…。

 船長は船や船員の生活を守るのが仕事。
時にはそれが誤った方法でも<生活という現実>には容易に勝てない…。

 不景気ゆえボロ船を修理できない船長のチョルジュ。
本業の漁業で立ち行かなくなり密航の手助けで資金を稼ごうとする。
そこにはあらゆる人々の欲望が渦を巻く。

 2001年に起きたテチャン号事件を基にした戯曲『海霧(ヘム)』の映画化。
『殺人の追憶』で共同脚本を執筆したシム・ソンボの監督デビュー作で、ポン・ジュノの初プロデュース作品でもある。
閉鎖的で逃げ場のないな漁船には悪天候、海洋警察、各々の私利私欲…、とあらゆる障害が待ち受ける。
生きるためとはいえ危険な賭けの代償は、教訓というにはあまりに大きすぎる。

 現在の韓国が抱える闇…、いや人間が持つ本質的な問題点が浮き彫りになっていると思う。
リアリティを感じさせる風貌の船員たちが良い。

 立ち込める霧に疑心暗鬼となったそれぞれの欲望がむき出しになり、船内という密室もギリギリまで追い込まれた精神状態をよく表していた。
そんな絶望が支配するなかで、かすかな希望が見えたのが救いといえば救いか。(ラストショット、カメラアングルとギリギリの編集の上手さにうなる。)

フォト


 韓国映画らしく(?)、かなりグロテスクな描写が多いので心臓の弱い方にはオススメできない。

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