『
ラン・オールナイト』
ある時は元CIA工作員だったり、またある時は航空保安官だったりアクション映画では正義の味方が多いリーアム・ニーソンだが、今回は<殺し屋>を演じる。
タイトル通り、夜通しNYでの逃走劇を繰り広げる。
疎遠になっていた自分の息子を守るためにジミー(リーアム・ニーソン)はマフィアのボス、ショーン(エド・ハリス) の息子ダニーを殺してしまう。
NY中の組織や警察からも追われることになるジミーと息子のマイク。
しかし、いかに絶体絶命な状況下でもジミーはあきらめることはしない。
ボスも殺し屋もお互いに父と息子という同じ家族構成を持ち、敵同士なのに長年の友という奇妙な関係が描かれる。
さらにはどちらの息子も父とは反目し合う点という共通項も…。
マフィアも血縁もどちらも<ファミリー>と呼ばれるが、二つのファミリーで葛藤する姿に任侠ものがふと頭をよぎる。
はたして血よりも絆が強いのか。
ジミーが愛用する銃がリボルバーというのが昔気質を示しているようだ。
親というものはいかなる時でも子供を守るもの。
危険を顧みず、子供が手を汚さないように最大の努力をする姿は(犯罪行為であっても)父の愛の深さを知る。
一晩のタイムリミットの設定は劇的な都合が大きいだろうが、根回しや交渉といった駆け引きには一応の説得力がある。
NYを舞台にしたノンストップアクション、とりわけカーアクションのスリリングさは特筆モノ。
古いマンションを使っての銃撃戦も迫力満点。
リーアム・ニーソンとエド・ハリスという名優同士がぶつかり合うシーンは、『ヒート』のロバート・デ・ニーロとアル・パチーノを思わせるようだ。
『アンノウン』『フライト・ゲーム』でリーアム・ニーソンと組んだジャウム・コレット=セラ監督だけに安心感もあったのではないか。
スタイリッシュなカメラワークや美しい風景も詩的な情感を称えていた。
試写会@一ツ橋ホール
5月16日より公開
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