『
国際市場で逢いましょう』
日本にも似たような状況ってあったんじゃないかな?
戦後の闇市、生き別れの家族、米軍に「ギブ・ミー・チョコレート」と叫ぶ子供たち、海外に出稼ぎに行く、経済成長後の地上げ屋など…とても他国の話とは思えない。
日本人でも第二次世界大戦を体験した世代や直接伝え聞いた世代ならば我が事のように感じられるかもしれない。
朝鮮戦争時から現代までを興南から逃げてきたドクス少年の視点で描かれた大河ドラマ。それは韓国の現代史に他ならない。
現在の釜山、“国際市場”の『コップンの店』に地上げ屋が来るが、店主はガンとして売らない。そこには売れない理由があった。
映画は時間軸を行き来して、その謎を紐解く。
戦争の混乱と、それによって引き裂かれた家族、いつの時代も泣きを見るのは庶民だ。
幼いころからの親友ダルグと年を重ねながら、晩年までをドラマチックに描くさまは韓国映画らしい。
韓国人にとって有名であろう人物や事件が沢山取り上げられていて、知っていればもっと共感できたであろう。
“南北”に引き裂かれた朝鮮半島から“東西”に分断された国(西ドイツ)に出稼ぎに行くというのは、中々興味深い。
いくつも山場が訪れるほどに感動的エピソードが語られる。
時間もポンポン飛ぶが、混乱しない構成や編集は大したもの。
国際市場の名称の由来は、当時闇市で扱う商品がほとんど外国産だったことに起因するようだ。
だがはからずも映画では西ドイツ・ベトナムと、国際舞台が描かれる。(スタート地点の興南地域は北朝鮮領だし…)
ドクスとダルグの幼少期と成人後はもちろん別々の俳優が演じているが、割と似ている子役を見つけてきたなと感心した。この辺も丁寧さを感じる。
米TVドラマ『LOST』にも出演していたキム・ユンジン演じる看護師にいわくありげな謎が気になるが…。
『バードマン』ほどじゃないが(笑)、流れるようなカメラワークがカッコいい。
本国では歴代二位の観客動員を果たしたというのもわかるほどの一大叙事詩。
シリアスでありながら時にユーモラスなので肩ひじ張らずに楽しめる。
試写会@東映(株)本社 第一試写室(←ここは初めて行きました。出版社のような社内を通過するのが面白かった。)
どうでもいいが公式サイトのキム・ユンジンとチョン・ジニョンの説明箇所で
誕生日が未来になっているのは直した方がいいと思うな。(4月29日現在)
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