(訳者序)
この部分については，淡々と事実が述べられているのみで，注目すべき事項はない。
1.5 戦略---------ポーランド戦の経過��
北と南からの同時側面攻撃と呼ばれる計画は，回廊を切り取り，ワルシャワへ前進することにある。ポーランド軍は，無防備な国境に沿って守備に就いていた。これゆえに急速に分断，包囲，縮小の憂き目にあった。彼らは，主防衛線をビツラ・ナリュー・ブグ線に沿って，準備しておくべきだった。こうすれは，戦争行為を引きのばし，英仏が脆弱な西部の守備隊への攻撃を促したであろう。これは，壊滅的な打撃をうけたであろう。冒険的権威主義の指導者は，ドイツ国民にひどいリスクにさらした。しかしながら，神はこのとき我我に微笑んだ。ポーランド軍は，野戦では勇敢であったとしても，戦略的配置の能力にかけることを白日の下にさらし，仏軍は，殆ど射撃を行うことなく，陣営や要塞に腰を据えていた。
今日では，ドイツのコメンテータは，ポーランド電撃戦が可能となった1939年9月におけるフランス軍の静的防御の奇跡について書いている。そこに奇跡を見出すことは難しい。仏軍の軍事思想は，防衛的で守備的である。これは，その考えで1918年に勝利したからである。彼らは，機械化された戦闘では，防御側が1:10の優位にあるという理論にとらわれていた。疑いもなく，9月において，仏軍は，マジノ線の要塞を放置し，または，ベルギーとオランダを通過のうえ北部の平原を経由して，数百万ものよく訓練された兵士をとドイツ国防軍がポーランド戦で有するよりも多くの機甲師団を紙のように薄い西方の守備隊に送り，ベルリンを席巻することが可能であった。しかし，その意志はなかった。この肝心な点でのアドルフヒトラの政治的軍事的な賭博は，華ばなしかった。彼は敵軍である仏軍の全てを隅から隅まで良く理解し，予想したのであった。
1.6 勝利---------ポーランド戦いの経過��
ポーランド軍を突破には，おおよそ４日かかった。完璧な戦術的奇襲に成功した。これは，偽善的なポーランドの政治屋が，危険を十分に察知していたにもかかわらず，国民に誤ったやす請け合いを繰り返し続けたからである。ポーランド空軍の3000機もの機体が，大部分，地上で破壊された。以降，ドイツ空軍は，上空を自由に闊歩した。ポーランド軍の地上軍の抵抗は，中等度から重度であり，我が軍の野戦指揮官は，戦車部隊に大胆な突撃を敢行する騎兵隊を称賛しなければならなかった。おおらく，ポーランド軍の騎兵は，政府からドイツの戦車は，ハリボテであると説明をうけていたという伝説は本当であろう。悲しむべきは，この場合，彼らは自分の身をもって，これが誤りであることを理解したのであった。機械化された戦闘と古典的な戦術とを対比し得るものとしては，戦車に対してポーランド騎兵の無意味な突撃以上のものは存在しないであろう。
そうはいっても，ドイツ国防軍は，完全に機械化された機甲師団を薄いナイフの刃先だけに運用していたにすぎない。重要な地上軍の前進は，狭い機甲部隊の突進による通信の切断，パニック，戦線の崩壊の成果を収穫する徒歩歩兵団によるものであった。ドイツ空軍は，強力な支援の役割を演じたものの，最後に，都市の抵抗力を奪い，実際に降伏に至らしめたものは，空襲ではなく，ワルシャワの外に大量配置された馬引きによる砲兵隊によるものであった。この馬匹へ過度に依存することで，我々が世界戦争への戦闘準備が深刻なまでに不足していることを覆い隠したのであった。
9/21までに，ワルシャワ市は，ドイツ国防軍の部隊によって囲まれていた。外部から，10万ものポーランド兵士が捕虜となった，包囲線が次々に終了した，前線の全面崩壊，政府が臆病にもルーマニアに逃げ出した，などのニュースが飛び込んできた。しかし，，昼となく夜となく砲撃と爆撃が続けられ，水や食料，それに電力の欠如，多くのビルの倒壊，病気が蔓延したワルシャワ市は，9/27になってやっと，西方からの援軍（英仏による援軍）が望めない判断し，降伏した
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