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2020年02月07日23:53

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新譜之雑談帖(その643)―ピエール・ブーレーズ ベルリオーズ録音集成(4CD)

わたくしがブーレーズの音楽を聴く様になったのは、今世紀に入ってから。ブーレーズが得意としていたレパートリーに、長年わたくしは興味が持てず。また、わたくしが御贔屓の音楽家の作品については、ブーレーズはちっとも指揮をしてくれず。
という訳で、エライ指揮者なんだろうけれど、関心の範疇外だなあと長年いわば敬して遠ざけて居りました。

風向きが変わったのは、ブーレーズが晩年DGにマーラーの交響曲を録音する様になってから。わたくしはマーラーでも、バーンスタインの様な熱演系の演奏は余り好みではなく、セルやインバル、或いはギーレンと云った、思い入れを排した緻密な作りの音楽が好き、なのですがブーレーズの演奏はまさにそうした方向性を十全に体現した演奏で。
おや、この人の演奏をもう少し聴くべきではなるまいか、と―ちょうどそのころからストラヴィンスキーやシェーンベルクと云った、それまで敬遠の対象でしかなかった作曲家を聴く様になった事と相まって―ブーレーズの演奏をあれこれ聴く様になりました。成程、こうした音楽では、ブーレーズは他の追随を許さぬ存在なのだなあ、と遅ればせながら認識を改めた次第。

只、それまでも実はブーレーズの音盤(LP時代の)は購入した事がありまして。一つがベートーヴェンの第五交響曲、もう一つがベルリオーズの幻想交響曲でありました。
只どちらも世評程感心しなかった記憶が。ベルリオーズの方は、ミュンシュの様な、一気呵成の音の洪水的な演奏と異なり、遅いテンポで克明に楽想を切り分けていく演奏、という点ではまあ好ましかったものの。その割には第五楽章の鐘は、チューブラー・ベルでの代用だったので、鐘を使っていたミュンシュやマルティノンの演奏を御贔屓にしていたわたくしとしては、少なからぬ違和感が。

それから時代は流れて幾星霜。ブーレーズの演奏について、嘗てよりは理解が進んだ―正確には馴染める様になった、というべきかも知れませんが―今の耳でもう一度聴いてみたい、と思ってはいたものの、一向に再発の斯かる気配(海外盤で)はなく。
正確には、先達てソニー・クラシカルから発売された、ベルリオーズのアニバーサリー・エディションには収録されていたのでありますが、こいつに手を出すとミュンシュの『ファウストの劫罰』や序曲、『キリストの幼時」がダブって仕舞うので、余り得策ではないしなあ、それでも再発の機会がないから妥協すべきか、と思いあぐねる事暫し。

しかし、音盤の神様は我を見捨てず(大袈裟)。遂にソニー・クラシカルは、哀れな音盤道楽ぢぢいの願いを叶えてくれる気になったのか(只の妄想)、此処にブーレーズによるベルリオーズの録音集成を出す、との告知が。滂沱の涙を流すわたくし(誇大表現)。輸入盤の音質で、ブーレーズな緻密な音楽作りを堪能する機会が訪れようとは、大変に有難い事でありまして。発売日を楽しみに待とうと思います。

と思ったら、この後あれこれわたくしの道楽心を刺激して止まない音盤がボコボコ出る様で。また別の機会に、此処で勝手な御託を並べたく思います。

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