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2019年01月04日23:42

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新譜之雑談帖(その532)―スイス・ロマンド管弦楽団100年の軌跡

スイス・ロマンド管弦楽団の名前は、わたくしに取りまして名指揮者エルネスト・アンセルメの名と分かち難く結び付いております。そのアンセルメが創立したスイス・ロマンド管弦楽団が、創立から100年を迎えるとの事で、記念の5枚組セットを出す、との告知が。

このオーケストラがアンセルメの没後、ホルスト・シュタイン、ウォルフガング・サヴァリッシュ、アルミン・ジョルダンと云った指揮者が常任指揮者を務めていた、と記憶していますが流石にアンセルメの様な超長期政権、とはいかずに大体10年程度で常任指揮者が交代していた様な印象が。また、こうした指揮者も、アンセルメ程沢山の録音を残していない(スイス・ロマンドのギャラが安かったので、ケチな事で知られていた英デッカの経営首脳が、スイス・ロマンドを積極的に登用した結果、アンセルメとの録音が大量に残されたそうです)ので、どうも印象が薄いのですが、今回の録音集ではほぼ万遍無く、歴代の常任指揮者の録音が収録されて居りまして。

只、去る者日々に疎しなのは世の常でありまして、止むを得ない所なのでしょうが、わたくしとしましてはもう少しアンセルメの録音を収録して欲しかった所。確かに5枚目には、アンセルメの師匠筋にあたるスイスの作曲家、ドレの歌劇『羊飼い』の実況録音が収録。アンセルメのオペラ録音は、珍しいものなので、確かに資料的価値は高いのでしょうが、せめてもう一枚残されているであろう、定期演奏会からの実況録音を収録してもバチは当たらなかった様な。

わたくしがクラシック音楽を聴き始めた頃は、アンセルメの没後から左程時間の経っていなかった時期でもあったので、バレエ音楽やストラヴィンスキーの音楽は、難でもアンセルメが一番、と言った雰囲気が濃厚でありましたねえ。その後の録音技術の長足の進歩、各オーケストラの技能の向上の二点から、アンセルメの録音は決定盤的扱いから外れ、余り見かけなくなりました。

只個人的には、SP時代のストラヴィンスキーの録音や、最晩年にニュー・フィルハーモニア管弦楽団を指揮しての『火の鳥』(リハーサル録音付)を、例の豪州エロクエンスで比較的最近に聴く機会を持ち、成程一世を風靡しただけの事はあるなと大いに感心した次第。

なので、もう少しアンセルメの録音を珍重しても、と思うのですがこれはまあ、わたくしの往年の巨匠マンセー的傾向によるものも多分にありましょう。しかし、最近スイス・ロマンドの録音はめっきり見かけなくなりましたねえ……
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