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2018年12月14日23:58

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新・音盤雑談帖(その71)―ハンス・ロスバウト ハイドン録音集

さて先達てから、これまで未発表だったハンス・ロスバウトの録音が、次々に世に出ていますが、過日ハイドンの交響曲・協奏曲集が発売になりました。わたくしは何度も申し上げている様に、ハイドンの音楽が好きなので、喜び勇んで購入。この間、全部聴き終えたので心覚えもかねて感想文を少々。

先ずちょっと驚いたのが、収録されている交響曲の数の多さ。番号付きの交響曲だけでも、周知の様104曲が残されて居りますが、同じ古典派の作曲家であるモーツァルトの交響曲に比べて、演奏される頻度、残されている音盤の数はどう考えてもモーツァルトの方が上。それが比較的初期の作品から中期、晩年の作品と飛び飛びながら、今回全部で18曲の録音が収録されている、のでありますね。

1959年はハイドン没後150年だったからか、とも思いましたが、それを言えば1956年はモーツァルト生誕200年。ハイドンより後に発売された、モーツァルトの録音集(買っただけでまだ聴いておりませんが)で、収録されている交響曲は31番・36番・38番・40番(録音は2種類)のみ。ううむ。

これは何を意味するものか。設立されて間もないオーケストラのアンサンブルのトレーニングで、自然ハイドンを取り上げる機会が多かったのか(オーケストラのアンサンブルを鍛える点で、ハイドンの交響曲は最適であると確か何かの折に、故岩城宏之氏が書いていたのを読んだような記憶しています)。それともこの頃の独逸の放送局のオーケストラは、何処もこのぐらいハイドンの交響曲を取り上げていたのか。
それともロスバウト自身が、ハイドンの交響曲を演奏する事を好んでいたのか。まあDGへの録音でも、ハイドンの交響曲の録音が残されているので、わたくしとしてはロスバウト自身の嗜好によるもの、と推測するのでありますが、それはさておき。

欲を言えば、所謂ザロモン・セットの最後の12曲中、8曲迄の録音が今回公になったので、後4曲くらい見つけられなかったのか。第94番『驚愕』、第101番『時計』、第103番『太鼓連打』は、どうしても聴きたかった、と思わないでもありませんが、そんな寝言をほざいては罰が当たるというもの。
モノラル録音ではありますが、放送局の録音が基なので、音質的には十分鑑賞用として通じるレベル。驚いたのは、ロスバウトの演奏で聴いたハイドンは、どの演奏もずっしりした、ドイツ音楽を強く感じさせる、かっちりとした仕上がりであった事。
これまで色々な指揮者によるハイドンの演奏を聴いて来ましたが、これほど独逸音楽を感じさせる演奏は―クレンペラーの演奏は、威風堂々たるものでありましたが、それでも独逸音楽だなあ、という思いは余り湧かなかったですね―初耳、でありました。それも後期の作品のみならず、日ごろそれ程耳にする事の少ない、初期から中期の作品からも、色濃く立ち上ってくるのは新たな驚きでありました。

しかし当時の独逸のレーベルで、ロスバウトにハイドンの(せめて)ザロモン・セットを録音させよう、と企画する所はなかったんですかね。これほど堂々とした、風格と気品と構成美を誇るハイドンも、そうは聴けないだろうと思うのですが。尤もロスバウトは現代音楽のエキスパート的な捉え方が一般的ではありましたから―先達ての某Kの国レーベルからの録音集でも明らかな様に―ロスバウトのハイドンという所まではいかなかったのかも知れません。惜しい事であります。

わたくしにとりまして、最近のハイドン交響曲演奏では、一番の聴き物でありました。

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