mixiユーザー(id:2312860)

2018年07月19日21:47

192 view

読み始め-『暇と退屈の倫理学』(0)

「人生は死ぬまでの暇つぶし」

という言葉(名言?)がある。
この言葉には、相応の真理が含まれていると思うが、それについて上手く説明することが出来ない。多分、ハイデガーの『存在と時間』における「気分」「情状性(情態性)」などの概念が手引きとなりそうなのだが、なかなか考えがまとまらないままでいる。

『暇と退屈の倫理学(増補新版)』を読み始めている。
この本は数年前に図書館で手に取ったことがあったが、そのときには全く興味が湧かなかった。「ヒマ」と「退屈」の「倫理」について、僕の読書における優先順位がそれほど高いとは思われなかった。ハイデガーに言及されていたが、何かそれで権威付けをしているようにしか感じられなかった。

その後、上手宰=okさんの日記か何かを見て、國分功一郎の『中動態の世界』という本に興味を持った。この本では、「意志」や「行為」との関連で、ハイデガーやアレントが取り上げられていた。図書館で借りてペラペラとページをめくってみると、確かに面白そうだ。ただ、すぐに手を出して深入りできるような本でもなさそうだった。

そんなことを思っているうちに、BOOKOFFで『暇と退屈の倫理学(増補新版)』をみかけた。そして、その著者が『中動態の世界』と同じ國分功一郎であることを知った。真面目に立ち読みしてみると、この本は相当に面白そうだ。

まず、取り上げている思想家が、バートランド・ラッセル、ジョン・ケネス・ガルブレイス、カール・マルクス、ハイデガーと、僕が高校時代から読んできたものと重なる。
そして、この「退屈」論は、ハイデガーの「気分」論に基づくものであることが分かった。これこそ、ここ1年くらいの間、僕が考えながらも留まっていた観念に大きく関わるものだ。
というわけで、『暇と退屈の倫理学(増補新版)』を買って読んでいる。

反則かも知れないが、「まえがき」の次に、ハイデガーについて取り上げている第五章「暇と退屈の哲学」を読み、第六章「暇と退屈の人間学」までを読み終えた。ハイデガーの『形而上学の根本諸概念』に拠りながら、ハイデガーの「退屈」概念について分かり易く解説している。
このことについては、あらためて考えてみたい。

一点だけ、國分がハイデガーの「気分」概念について論じながら、「情状性」の「被投性」について論及「していない」点が面白いと思った。僕にとっては、情状性の被投性というのは重要な論点だった。しかし、國分の問題意識からすると、被投性に言及しなくても、「退屈」という「気分」について論じることに困難は無いようだ。

◆「存在と時間」note(019)-情状性(第29節)(2008年11月18日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=998652025&owner_id=2312860

◆『中動態の世界――意志と責任の考古学』(医学書院・2017年)
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=87748
◆『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社、2011年)
https://www.asahipress.com/hima_web/
◆『暇と退屈の倫理学(増補新版)』(太田出版・2015年)
http://www.ohtabooks.com/publish/2015/03/07000000.html

◆待ってるだけじゃ「哲学」はやって来ない
――哲学者・國分功一郎インタビュー #1
http://bunshun.jp/articles/-/3227
◆「哲学のない時代は不幸だが、哲学を必要とする時代はもっと不幸だ」
――哲学者・國分功一郎インタビュー #2
http://bunshun.jp/articles/-/3228
◆能動態でも受動態でもない「中動態」を知ると少し生きやすくなる
著者は語る 國分功一郎『中動態の世界――意志と責任の考古学』
http://bunshun.jp/articles/-/2461
◆KoichiroKOKUBUN國分功一郎(twitter)
https://twitter.com/lethal_notion

◆國分功一郎のブログ(Philosophy Sells...But Who's Buying?)
https://ameblo.jp/philosophysells/entry-11051651093.html
https://ameblo.jp/philosophysells
◆平岡公彦の読書日記(本書関連)
http://d.hatena.ne.jp/kimihikohiraoka/20120224/p1
http://d.hatena.ne.jp/kimihikohiraoka/20120311/p1
3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する