新譜之雑談帖（その457）―ハンス・クナッパーツブッシュ・コレクターズ・エディション（203ＣＤ）

ハンス・クナッパーツブッシュという指揮者は、わたくしも御贔屓指揮者の一人でありまして。嘗ては録音嫌い、という扱いで―確かに正規の録音はそれほど多くない、と言えば多くないのでありますが、オーケストラの常任を務めていないので、やむを得ない所か、と。
それでも没後、実況録音が沢山出てきて、今日聴く事の出来る演奏は、結構な量に。先達てわたくしが比較的御贔屓のＶｅｎｉas、というヒストリカル・レーベルから、管弦楽録音集、マニアックとしか思えないワーグナーの『ニーベルングの指輪』録音集、『パルシファル』全録音集、オペラ録音集と、それぞれ結構なボリュームの録音集が発売されまして。

もうちょっと小分けにしてくれたら―最初期のＳＰ録音等―手を出しても、と思わぬ事もなかったのでありますが、あろうことかこの４つの録音集成をひとまとめにして発売する、との驚異の告知が。なんてこったい。

枚数もお値段も大変なものとなって居りますが、或いはこれまで発売された録音集が売れ残って在庫の山が出来たので、セットとして売り出す事にしたのか。それともひとまとめにしてくれ、との声が発売元に多数寄せられた為なのか。流石に２００セットのシリアル・ナンバー入りの限定盤、との事ですが、そりゃあそまあうでしょうね。

しかし、『指輪』『パルシファル』全録音集の様な、きわめてマニアックな録音集成を出して、更に全録音集を購入する向きがまだあるのか。無論商売ですから、一定の目算があっての事でしょうが、此処暫くでは大いに驚かされた告知の一つ、でありました。