mixiユーザー(id:5087127)

2015年12月07日00:51

620 view

新譜之雑談帖(その244)―ワインガルトナーの歌劇『寺子屋』

CDが世に出てから30年有余の歳月が流れましたが、LP時代には聴けなかった作曲家の作品も、その気になれば聴ける様になったのは有難い事と言わねばなりますまい。
わたくしの音楽上の好みは、極々通俗的と言いますか、平平凡凡と言いますか、誰でもが聴く作曲家の作品が好き、でありまして。演奏の好みは、流行に疎い事と元来が頑迷である所から、近年大流行りの某アー○ン○ー○だとか、某ガー○ナーだとかに代表される古楽器系の演奏は大嫌いでありまして。所謂往年の巨匠と言われる演奏家の、どうかすると戦前のSP時代の復刻盤を喜んで聴く様な傾向が強い事を自覚して居ります。

ワインガルトナーと云う指揮者は、存命中はベートーヴェンの交響曲演奏の権威的存在であったのは、少しヒストリカル系の演奏に明るい人なら殊更に言い立てる迄も無い所。SP時代に(オーケストラはバラバラ、ではありますが)ベートーヴェンとブラームスの両作曲家の交響曲全集を拵えた指揮者は、この人だけだろうと思います。わたくしはこの人の演奏は御贔屓で、特にウィーン・フィルと録音したベートーヴェンの交響曲、所謂電気吹き込みの初期なので、音の状態(並びに復刻の状態)は頗る悪いものの、ベルリオーズの幻想交響曲は愛聴盤であります。

さて、このワインガルトナーと云う人は、同時代のマーラーやリヒャルト・シュトラウス同様、作曲にも手を染めて居りまして。尤も今日、引き合いに出した二人の作品に比べて、彼の作品は文献学的に知られているのみ、と云う時代が長く続いていた訳ですが。
近年、CPOと云うレーベルがどういう考えの基なのか、ワインガルトナーの作品を続々と音盤化しておりまして。これまで交響曲全集、弦楽四重奏曲等の録音を敢行して来ましたが、この程遂にオペラ作品を録音し、発売するとの告知が。

ううむ、凄いと思って告知を眺めたのですが、その題名が『寺子屋』おやおや、欧州にも嘗ては日本で云う寺子屋があったのかな、と思いきや。これが何と日本の歌舞伎の当たり狂言の一つ、『菅原伝授手習鑑』でも尤も有名な『寺子屋』を歌劇化したものだそうでして。あっと驚く為五郎(ぢぢいでないと知らないをやぢギャグならぬ、ぢぢいギャグ)。
ワインガルトナーは戦前の所謂五大指揮者のうち、唯一来日した事のある指揮者ではありますが、どうやらその時に題材を得て書かれたもの、ではなさそうで。

どんな作品なのか、怖い物見たさ(正確には聴きたさ、ですね)に聴いてみたい様な気もしますが、有名な首実検の場面が歌劇化されているのでしょうか。「せまじきものは宮仕え」の科白は、日本では人口に膾炙しておりますが、一体どんな仕上がりなんですかねえ。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する