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2015年09月18日22:12

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新訳「人間の大地」

先日、サン=テグジュペリの『夜間飛行』(新潮文庫)が、ピース又吉氏によって「愛してやまない20冊!」に選ばれ、書店で平積みされていたことをご報告した。
その後、図書館で新規収蔵本のコーナーを見ていたら、サン=テグジュペリの『人間の大地』があった。光文社古典新訳文庫から新訳が出ていたのだ。さっそく借りて、目を通してみる。

悪くない訳だ。
この本については、既にいくつかの邦訳がある。
僕が親しんでいるのは、堀口大學による古い訳(新潮文庫)だ。
その序文など、いったい何百回読んだか分らない。冒頭部分は、暗唱できるくらいだ。

「ぼくら人間について、大地が、万巻の書より多くを教える。」

新しい訳は、堀口訳に慣れた僕にとっても、特に違和感が無いものだった。
堀口訳は、さすがに戦前の訳であって、訳語などにも古めかしいものが多い。初版当時に比べると細かな改訂もされているようだが、若い読者には読みにくいところも少なくないかも知れない。

■改版−濫読『人間の土地』(2011年05月05日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1716966061&owner_id=2312860

なので、新しい訳が出たことは、喜ばしいことだ。
いずれ買って、じっくりと読んでみたい。

「光文社古典新訳文庫」は、いい仕事をしていると思う。

ちょっと面白かったのは、同文庫のHPにおけるサン=テグジュペリの紹介文。

■サン=テグジュペリ
「[1900−1944]フランスの作家、飛行家。兵役で航空隊に志願、除隊後は民間航空業界に入る。26歳で作家デビューし、自らの飛行体験に基づく『南方郵便機』『人間の土地』などを発表した。1931年発表の本書はアンドレ・ジッドに絶賛され、またフェミナ賞を受賞。また1942年の『戦う操縦士』は、ヒトラー『我が闘争』に対する「民主主義からの返答」として高く評価される。詩情あふれる『ちいさな王子』は、子どもから大人まで今も世界中で愛され続けている。」
http://www.kotensinyaku.jp/books/book214.html

『星の王子さま』を『ちいさな王子』としておきながら、同文庫で『人間の大地』とした本の題名を堀口訳の『人間の土地』で紹介している(笑)。

「ヒトラー『我が闘争』に対する「民主主義からの返答」」である『戦う操縦士』も、早く「古典新訳文庫」から出して欲しいものだと思う。


■サン=テグジュペリ/渋谷 豊 訳『人間の大地』(光文社古典新訳文庫)
http://www.kotensinyaku.jp/books/book214.html
■ピース又吉が愛してやまない20冊!(2015年09月13日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946013823&owner_id=2312860

■濫読『人間の土地』
(01)土壌(2011年03月20日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1692948285&owner_id=2312860
(02)種子(2011年03月21日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1693520096&owner_id=2312860
(03)改版(2011年05月05日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1716966061&owner_id=2312860

■サンテグジュペリと『星の王子さま』関係の目次(2006年10月01日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=233093359&owner_id=2312860
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