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2015年07月19日01:46

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新譜之雑談帖(その213)―Igor Markevitch The Complete EMI Recordings (18CD)

マルケヴィッチと云う指揮者は、独特の鋭さがあって、そこそこ御贔屓なのでありますが、如何せん左程録音に熱心ではなかったのか、その真価を十全に発揮している録音が少ない様にも思います。或いは存命中は、一般の音盤愛好家にとってはその演奏(或いは得意とする曲目)が斬新過ぎて、受け入れられる事が少なかったのか。

斯く申すわたくしも、10年程前にDGから発売された録音集や、旧フィリップスから発売されたチャイコフスキーの交響曲全集は蔵して居りますが、左程熱心な聴き手とはお世辞にも言えない様でありまして。

それでも以前、TESTAMENTから発売された、モノラルとステレオの両方の『春の祭典』を収めたCDは持っていて、モノラルの録音ではオーケストラの側に未消化の部分が幾つか聴き取れるのに対し、ステレオ録音ではそれらが全て解消されているのを聴き(ほぼ同じ時期のモントゥー/パリ音楽院管弦楽団の、途中でオーケストラのアンサンブルが、ガタガタに崩壊する悲惨な状況がそのまま録音されている演奏を聴くと)、アンセルメの旧録音と比較しても、成程これはこの時代では恐らく最良の『春の祭典』の演奏であったろうなあ、と大いに感心した記憶が。

この時代のマルケヴィッチの録音を耳にする事が出来ないものか、との思いが時々頭を掠める事が無くは無かったのでありますが、それがよもやこの様な形でかなえられるとは予想だにしませんでした。尤も当初想像していたのとは異なって、大半が1950年代前半の、モノラル時代の録音でありますが、この時期は既にLPレコードの時代なので、まあ聴くに堪えない、と云う事はないだろうと思う次第。

こうして見てみると、マルケヴィッチと云う指揮者も、随分色々な曲を録音しているのでありますね。TESTAMENTから一部が発売された他は、これまで接する機会がなかった録音の様なので、ちょっと楽しみではあります。しかし、先のマルティノンの録音と云い、このマルケヴィッチの録音と云い、埋もれている録音(それなりになの通った指揮者であっても)は案外あったりするものなんですね。これだから音盤道楽は止められません。

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