備忘録、
第27回東京国際映画祭(10月28日)
『十字架の道行き』(ワールド・フォーカス)
原理主義者は何につけ理解しがたいところがある。
もう価値観が違うのだから、理屈云々の世界ではないのだが…。(汗)
キリスト教を熱心に信じる一家。特に母親が強烈で、すべて「あなたのため」とばかりに子供を縛り付ける。
とても現代に生きているとは思えない窮屈さ。
異性に好意を抱くことすら許さない。
信仰心と児童虐待の境目はどこにあるのか?
キリストが教えたかった本心はどこにあるのか?人間性を犠牲にしてまで献身的に生きなければならないのか。外野からはそんな疑問が浮かび上がる。
型ばかり優先してしまい、優柔さがなくなる怖さ。
現代のイエスは皮肉にも“キリスト教”の受難にあってしまう。
しかし、考えようによっては引き金となった母もまた被害者かも…、彼女もまた信義に従ったまでなのだ。
タイトルの意味するところはカトリックならなじみがあろうが、中世末期から行われてきた<まねび>の儀式。映画はそれになぞらえて14の章立てで進行する。
ワンシーン・ワンショットの長回しを持ちこたえる演技に引き込まれる。
重苦しいが見応えはある。
ハネケの名前を引き合いに出す人もいるようだが、確かに抑圧的でゾワゾワする感触は似ているかも。
ベルリン映画祭で脚本賞受賞
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