『いっそ二人で殺そうか、あんたの旦那…女達の完全犯罪が始動』(ナオミとカナコ第1話)
せっかく購入したから観る。テーマはなにより友情なんだな。広末内田のコンビうまい。そしてふたりだけではなく、羊や佐藤、高畑のアンサンブルも素晴らしい。仲が良い夫婦の生活を見せながらの冒頭は後に見せる惨事との対比のクリシェ。希望する職場への移動は叶えられないナオミと幸せな結婚生活を手に入れることができないカナコは、ここにはないものを見続けるしかない。いや、過酷なリアリティのなか見ようとすることすらできないだろう。百貨店が経営する美術館の縮小、もはや昭和的メセナはこの日本には見ることはできない。ナオミとカナコは互いが言うフケツとフシダラを昭和みたいだと笑って言いあう。池袋の中国人街はまるで闇市の日本のよう。力強さがある。いっそ死のうとするカナコ。彼女自身が死ねば、暴力は終わると言う。近松門左衛門の江戸時代の自死は意固地によるものだった。今やその力強さはなくなり、虚無感が支配する。平和ボケの代償か。闇市からの声が再生をナオミとカナコに促す。
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