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2021年01月29日23:40

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新譜之雑談帖(その711)―ユージン・オーマンディ/ザ・コロンビア・レガシー(120CD)

ユージン・オーマンディがかのストコフスキーから、フィラデルフィア管弦楽団の常任指揮者の地位を継ぎ、42年の長きに亘ってその座にあり、同時に膨大な量の録音を残した事は良く知られている所か、と。そのフィラデルフィア・サウンド(尤もオーマンディ自身は、「オーマンディ・サウンド」と公言していましたが)は大袈裟に言えば満天下にその名を轟かせたのも懐かしい思い出。数年前は、日本でいう会社更生法の適用申請を出して、わたくしの様な懐古趣味の(それも大きく偏った)持主は、大いに衝撃を受けたものですが、最近はどうやら立ち直った様で。

そのオーマンディの録音集成が出る、と聞いて先ず驚いたのが、その枚数。実に120枚にも及ぶ、との事(尤もこの中には、他の指揮者がフィラデルフィア管弦楽団を指揮した演奏も数枚ある様ですが)。ううむ、オーマンディは最初はRCAのとの契約を結び、後にコロンビアへ移籍し、更にRCAに復帰しているので、録音は多いのは頭の中では承知していたものの、実際に纏まった数字を見ると唖然とするばかり。

うへえ、なんてことをしてくれるんだ。個人的にはオーマンディが吹き込んだポピュラー・コンサート的曲目の録音が聴きたいのに、それだけで120枚もの集成に手を出すのはなあ。と思って、告知を読んで更に魂消たのが、今回の録音集成は何とSP録音〜モノラルLP録音のものだけ、との事。成程、それで「ザ・コロンビア・レガシー」か。今はコロンビアもRCAも、ソニー・クラシカルに一本化されているので、殊更コロンビアを謳い文句にするのは、とちょっと不思議に思ったのですが、これで腑に落ちました。

しかしまあ、何と言いますか、時代を考えると途轍もない量でありまして。往年のアメリカのメジャー・レーベルの、資金力等を含んだパワーには、驚嘆の一文字あるのみ。しかもこれが同時代の米国の作曲家の作品も幾つもある、というのでありますから言葉を失って仕舞いますね。
わたくしはオーマンディは御贔屓指揮者の一人、ではありますがモノラル期のこれほど大掛かりな録音集成に手を出す勇気はちょっと持ち合わせておりませんで。しかし、今回の例で分かったのは、その気になればSP時代の録音の御蔵出しが(RCA、コロンビアの録音を継承している現在のソニー・クラシカルは)可能、であるという事。此処はもうひと踏ん張りして、ストコフスキー/フィラデルフィア管弦楽団の録音の御蔵出しを期待したい所、でありますねえ(毎度こればっか)。
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