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2020年02月09日23:06

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自然科学之雑談帖(その78)―ベテルギウスの運命や如何に

冬の夜空に輝く、オリオン座の赤い一等星のベテルギウス。最近の観測で、どうも表面が梅干しの如く皺が寄り、超新星爆発をする可能性が高くなっている事は、何時ぞやここでも記した記憶が。此処の所、夜空に輝くベテルギウスがどうも暗くなってきている様な。はてな、矢張り老眼が進んで見えにくくなったかな、やれやれと思っていたら、実際に暗くなってきている様で。

<引用開始>

ベテルギウス爆発いつ? 暗さ異例 ニュートリノ観測準備

冬の星空を代表するオリオン座の肩位置で赤く輝くベテルギウスがここ数十年で最も暗くなり、爆発が近いのではと話題になっている。爆発すれば有史以来最も明るい超新星となり、星の進化の研究にとって貴重な瞬間になる。その予兆は素粒子ニュートリノの観測でしかとらえられない。世界最高の観測施設をもつ日本は予知に期待を膨らませている。

「ここ50年で一番の暗さだ」。2019年12月、ある報告が注目を集めた。米ビラノバ大学の天文学者、エドワード・ギナン教授がベテルギウスを観測し、10月から暗くなっている状況を伝えた。「超新星爆発が近いのでは」と、天文ファンは色めき立った。ベテルギウスは太陽のように自ら光る恒星の一つだ。大きさは太陽の約千倍、質量は約20倍に達する。巨大化して赤くなった「赤色超巨星」で、星の一生の終わりに起きる超新星爆発が近いとされる。

歴史上、超新星爆発の観測例は少ない。1054年には約6千光年離れたおうし座で爆発が起きたとされ、世界中に記録が残る。1987年には大マゼラン雲での超新星爆発で発生したニュートリノを、東京大学の観測施設「カミオカンデ」(岐阜県飛騨市)が初めてとらえた。この業績により小柴昌俊教授(当時)は02年にノーベル物理学賞を受賞した。ベテルギウスまでの距離は約650光年と、これらの星よりも近い。国立天文台の山岡均准教授は「ベテルギウスが爆発すれば、明るさは半月に相当するマイナス10等級ほどになる。およそ100日間輝くと考えられる」と解説する。人類有史以来類を見ない天文ショーに期待がかかる。

しかし天文学者は今回の現象を冷静に受け止める。超新星爆発する時期を予測するのは難しく「爆発は明日かもしれないし100万年後かもしれない」(山岡准教授)。星が暗くなるのは表面の様子が変化するためだ。ベテルギウスは膨張と収縮を繰り返す「脈動変光星」で、膨らむと表面の温度が下がって暗くなり縮むと明るくなる。大幅な減光の仕組みに不明な点は多いものの、爆発までの指標になる中心部の核融合反応の変化とは関わっていないと考えられている。

星は軽い元素を核融合させて重い元素に変え、熱や光、ニュートリノを出す。核融合反応は星が光るエネルギーの源だ。最も軽い水素の核融合でヘリウムが生まれ、水素がなくなるとヘリウムが核融合を始める。その後も高温高圧下で元素が順次反応し、最後に鉄ができると反応が進まなくなり爆発に至る。重い元素ほど高い温度で核融合するため出る光も強くなる。星の内部で生まれた光は物質にぶつかり様々な反応を起こしながら進み、表面になかなか到達できない。太陽では光が中心部から表面まで届くのに約100万年かかるという。東大の野本憲一上級科学研究員は「暗くなる現象が超新星爆発の前兆だとは断言できない」と話す。

唯一の目印はニュートリノだ。あらゆる物質を素通りする不思議な性質があり星の中心から光速で出てくる。核融合の段階が進めば出る量も増える。ただし、遠い星から地球に飛んでくるニュートリノの量は非常に少ない。現在の観測技術でとらえられる可能性があるのは、最後の段階であるケイ素の核融合のみ。反応が起こるのは超新星爆発のわずか3日前だ。東大はニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」(飛騨市)で、この3日前の予兆をとらえようとある作戦を準備中だ。同施設は巨大なプールに水をため、宇宙から飛んでくるニュートリノがまれに水と反応する際の光を検出する。この水にガドリニウムという物質を加えて検出性能を高める。ケイ素の核融合を観測できるようになると期待されている。

ベテルギウスのようなサイズの恒星は、超新星爆発を起こした直後にブラックホールになるか、中性子星と呼ばれる重い星になるかの境にあるという。どちらも未解明の部分が多い天体で、発生の瞬間を観測できれば研究が大きく前進する。人類は巨大な加速器などで高エネルギーの極限状態を人工的に作り、物理法則を解き明かしてきた。野本上級科学研究員は「超新星爆発を観測すれば、加速器に頼らず極限世界が見える」と、研究の好機になる点を強調する。

水にガドリニウムを加える作業はまだ数カ月以上かかる見通しだ。観測に関わる東大の鈴木洋一郎特任教授は「ベテルギウスには爆発してほしい。でも作業を終えるまでは爆発してほしくない」と話している。

<引用終了>

出典Web:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200209&ng=DGKKZO55377740X00C20A2MY1000

ううむ、超新星爆発が明日かも知れないし、100万年後かもしれない、とはある意味なんとも雲をつかむ様なお話で。星の寿命に比べると、人の一生なんてあっという間である、というのは子供の頃から天文の本には必ず書いてありましたが、ベテルギウスの爆発もまさにそれでありまして。さて、どうなりますか。
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