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2018年04月04日23:56

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新譜之雑談帖(その464)―ネヴィル・マリナー/シュトゥットガルト放送交響楽団録音集成(15CD)

一昨年、92歳の天寿を全うして他界したサー・ネヴィル・マリナー。わたくしがクラシック音楽を聴き始めた頃が、アカデミー室内管弦楽団を率いて、盛んに録音活動を展開していました。当時マリナーがメインで録音していたのは旧フィリップスとデッカだったと記憶しています。しかし他界してもう2年が経過しようか、というのに追悼盤の声もかからず。

漸くマリナーが、アカデミー室内管弦楽団を一旦離れて、常任指揮者についたシュトゥットガルト放送交響楽団を指揮しての録音が、追悼盤の格好で発売される、との告知が。しかし独断よ偏見では、アカデミー室内管弦楽団を離れてからのマリナーは、録音の数もがくんと減って仕舞ったような印象が。その一方で、アカデミー室内管弦楽団との録音は、古楽器による演奏の全盛時代である今日、どっちつかずの中途半端な存在として―当時室内管弦楽団を率いて、バロック音楽を数多く録音していた、ミュンヒンガーやパイヤールと同じ様に―今や殆ど忘れ去られた存在の様で。

当時彼らの演奏を熱心に持ち上げていた愛好家は、一体何処へ消え去ったのか。往年の巨匠たちの演奏を好む人々は、年月を経ても少なからず存在すると見え、出尽くした感のあるフルトヴェングラーはさておき、その他の演奏家は昔の実況録音盤が未だに発売されているのでありますが……

妙に刺々しい、セカセカしたテンポやリズムが売り―とひとくくりにするのは少し乱暴ですが―の古楽器の連中に比べると、まだしもマリナー辺りの方が中庸のバランス、と云った事を弁えていたのではないか、という気もしますが、実際の録音がお蔵入りのままでは空論を振り回すだけでありまして。デッカも嘗て散々売り込んだ演奏家の録音を、もうちょっと大事にしても良いのでは、と思うのですが、例の豪州エロクエンス辺りでの再発を待つしかないのでしょう。
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